アレンジで味再発見 ご当地土産の工場見学10選
製造過程を見て試食もできる工場見学が人気だ。
お得でおいしい工場見学を、専門家が選んだ。
お土産 アレンジで楽しく
菓子の新たな魅力が発見できる工場見学。家庭でもちょっとした工夫でひと味違ったおいしさが楽しめる。
桔梗信玄餅やうなぎパイは、アイスクリームと一緒がおいしい。アイスに桔梗信玄餅を載せてきな粉、黒蜜をかけると名物「桔梗信玄餅ソフト」風に。うなぎパイはサクサク食感がアクセントになる。ひよ子(福岡市)の石坂淳子社長は「無糖ヨーグルトと食べるのがおすすめ」と話す。酸味と出合いさっぱりした味わいになる。
もみじ饅頭ソムリエの中曽真さんによると、もみじ饅頭はオーブントースターで1分ほど温めたり、冷凍して食べたりするといい。クリーム系は冷凍もおいしい。
工場見学に行く際は必ず日程を確認しよう。人気のある白い恋人パーク(札幌市)は見学コースが工事中で、7月に再オープンする予定。技術の宝庫である工場は撮影禁止のところもある。ルールを守って楽しもう。
(山梨県笛吹市) 700ポイント
個別包装 5秒の早業
桔梗(ききょう)信玄餅は、きな粉をまぶした餅に黒蜜をかけて食べる山梨の代表的な銘菓。見どころは「包装の見事さ」(中尾隆之さん)。風呂敷状の包装に入った桔梗信玄餅は、職人が1個5~6秒で包んでいる。「包装が人手ということに驚き、包みを開くときにありがたみを感じられる」(石原さん)。包装に挑戦できる体験(390円)もあり、完成品は持ち帰りできる。
併設のアウトレットでは、桔梗信玄餅や塩豆大福などの菓子を専用の袋に詰める「お菓子の詰め放題」(220円)が人気だ。9時半開始だが、整理券がないと参加できないことが多いので早めに並ぼう。アウトレットでは期限間近など「ワケありの特価品があり、ついつい買いすぎてしまう」(吉田裕之さん)。
「桔梗信玄餅ソフトなどアレンジスイーツも豊富」(日下部さん)。
(1)見学無料(2)なし(3)中央自動車道「一宮・御坂IC」から車で3分(4)http://themepark.kikyouya.co.jp/info/
(浜松市) 690ポイント
職人の特権 焼きたて賞味
見どころは、小さく折りたたまれた生地が窯の中で大きく膨らむ様子。「数十層に重ねたパイがこんがり焼き上がる」(吉田さん)。「タレ塗りや包装も見応えがある」(丹羽さん)。見学後はナッツとハチミツ入りの「うなぎパイミニ」がもらえる。
4月からは「窯出しうなぎパイツアー」(6月30日まで、500円、要予約)を開始。61年のうなぎパイ誕生当時の窯焼きを再現し、職人の特権だった焼きたてが楽しめる。要予約のコンシェルジュ付きツアー(無料)など4コースがあり「何度も見学が楽しめる」(福元聖也さん)。
うなぎパイを使ったミルフィーユやパフェなどが味わえるカフェは「フォトジェニックなスポット」(富本一幸さん)。
(1)無料(2)なし(3)東名高速道路「浜松西IC」から車で20分(4)http://www.unagipai-factory.jp/
(北海道千歳市) 650ポイント
空港内 多彩なしかけ
「空港で工場見学ができるのは斬新」(中村さん)。工房ではチョコに顔を描くなど職人の繊細な作業も見学できる。「ガラス越しに見られる製造の様子やチョコの歴史に親しめる展示も勉強になる」(原さん)。流れるチョコの泉に近づくと映像が変化するなど、「しかけが面白い」(吉田さん)。
(1)無料(2)なし(3)新千歳空港ターミナルビル3階(4)https://www.royce.com/brand/contents/chocolateworld/
(群馬県高崎市) 650ポイント
木の葉 舞うかのように
流れるようにできあがるラスクは「木の葉が舞っているよう」(福元さん)。「解説用イヤホンを借りて自分のペースで楽しめる」(中尾さん)。受付時に当日焼いたラスクがもらえ、フランスパンにバターを染み込ませて粉砂糖をまぶし、香ばしくあぶった「グーテ・デ・ロワ ブリュレ」も試食できる。「工場限定ラスクも人気」(青木之さん)。
(1)無料(2)なし(3)JR新町駅徒歩15分(4)http://www.gateaufesta-harada.com/
(北海道音更町) 350ポイント
シラカバ模様 職人の技
シラカバの木肌をミルクチョコとホワイトチョコで表現したバウムクーヘン「三方六(さんぽうろく)」が人気の製菓店。職人がシラカバ模様を描く様子は必見。限られた職人しか描けないという。商品名の由来にもなった、三方六寸の薪(まき)の形に切り分けるところも見学できる。店舗では数量限定で「三方六の端っこ」を販売している。
(1)無料(2)なし(3)道東自動車道「音更(おとふけ)帯広IC」から車で5分(4)http://www.ryugetsu.co.jp/sweetpia/
(埼玉県草加市) 250ポイント
生地から焼き上げ 一貫で
生地づくりから焼き上げまで全工程を一貫生産している数少ない煎餅店。「焼きたて煎餅を食べられるのがうれしい」(石原さん)。手焼き体験(要予約)では、職人が使う長い箸と押し瓦を使って熱い火鉢の上で焼く。「昔ながらの職人のように煎餅を焼く様子は温かい雰囲気」(福元さん)。
(1)150円(2)メールか電話で予約(3)東武伊勢崎線獨協大学前駅からバスで10分(4)http://www.sokasenbei.co.jp/inspection/
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(福岡県飯塚市) 550ポイント
1日12万個 癒やしの大行列
ヒヨコの形の饅頭(まんじゅう)「ひよ子」が成形され、焼き上がるまでを見学できる。16列に並んだ白いひよ子がオーブンに吸い込まれ、こんがり焼けた姿で出てくる。最後に「目が焼き付けられるところは注目」(日下部かおりさん)。工場では1日最大12万個のひよ子を製造している。「大行列は見るだけで癒やされる」(石原智さん)。写真撮影ができないので、目にしっかりと焼き付けよう。
見学通路ではひよ子の歴史が学べる。「東京土産と思う人が多いが、ひよ子は飯塚発祥のお菓子。炭鉱で栄えた筑豊には豊かな財力があり、多くの菓子屋が生まれた歴史がある」(中村智彦さん)
見学後はできたてのひよ子が味わえる。「皮がさくっとしており、まだ温かいあんが優しい甘さで格別」(丹羽桃子さん)
(1)見学無料(2)1週間前までに電話。予約受け付けは2カ月前から(3)JR福北ゆたか線天道駅から車で5分(4)http://www.hiyoko.co.jp/company/factory.html
(広島県廿日市市) 505ポイント
もみじ饅頭、一緒に焼こう
1932年に広島・宮島で創業したもみじ饅頭店。生地作りなどを映像で見た後、店内からガラス越しに「焼き上げ、包装までの工程が見学できる」(中尾さん)。
事前に予約すると「もみじ饅頭ソムリエの解説が聞けるのも楽しい」(吉田さん)。見学後はもみじ饅頭(さらしあん・つぶあん)のセットがもらえる。
19年2月に手焼き体験室(540円、要予約)がオープン。スタッフ指導のもと、手焼き器を使ってこしあん2個を焼く。廿日市(はつかいち)市は広島駅から40分ほどだが「手焼き体験はわざわざ足を運んででも行きたい」(原亜樹子さん)。焼きたては皮のパリパリとあんの甘さがより楽しめる。
(1)無料(2)3日前までに予約(3)JR大野浦駅徒歩5分(4)https://momiji-yamadaya.co.jp/factory/
(京都市) 500ポイント
できたてもっちもち 感動
生八つ橋であんを包んだ「おたべ」が機械で三角形に折られ、ラインを流れる様子は「迫力があり見応え十分」(木下猛統さん)。途中の「できたてドア」では、製造ラインから取り出したおたべが試食できる。「もっちもちで市販の物とは別物」(丹羽さん)。米粉から作ってあんを詰める体験(600円、1週間前までに予約)も。
(1)無料(2)なし(3)近鉄京都線十条駅徒歩10分(4)http://otabe.dt-r.com/original_page.php?id=4
(長崎県雲仙市) 460ポイント
熟練の泡きり 見応え
18年夏にオープンした和泉屋の工場テーマパーク。生地の温度を均一にする泡きりなど「熟練の職人技は必見」(日下部さん)。水を使ったウオーターカッターで「カステラを様々な形に切り分ける様子が楽しい」(富本さん)。海が見えるレストランでは「五三焼カステラフレンチトースト」などが名物。
(1)無料(2)なし(3)長崎自動車道「諫早IC」から車で30分(4)http://www.n-izumiya.com/shop/castella-land.html
(愛媛県東温市) 380ポイント
こだわり素材 12メートル窯で
長さ12メートルある窯の中で、銘菓「ベビー母恵夢(ぽえむ)」が焼き上がる工程を見学できる。おすすめはこだわり素材で作った「プレミアム母恵夢」で、「ここでしか食べられないできたてが味わえる」(富本さん)。
無料で楽しめる足湯や「蛇口からみかんジュースが出てくるなど子供が楽しめるしかけがいっぱい」(青木さん)。
(1)無料(2)なし(3)松山自動車道「川内IC」から車で5分(4)http://www.poeme.co.jp/sweetspark/
(兵庫県姫路市) 335ポイント
大量のあん 圧巻のシーン
回転焼き(大判焼き)「御座候(ござそうろう)」のあん製造工程では、釜で炊き上げた200キロのあんを台車から一気に流すシーンが圧巻だ。見学にはスタッフが付き添い「説明してもらえるのがいい」(木下さん)。店舗では「パリッと食感の御座候が食べられる」(中村さん)。全国唯一の「あずきミュージアム」を併設。
(1)無料(2)当日受け付け、見学は10時30分と11時(3)JR姫路駅徒歩15分(4)http://www.gozasoro.co.jp/factory/kengaku.html
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。施設名(所在地)。(1)見学料金(2)予約方法(3)アクセス(4)公式サイト。写真は東日本1、2位が遠藤宏、西1、2位が矢後衛撮影、ほかは各施設からの提供。
調査の方法 取材を基に、見学できるお土産菓子の工場を東日本16カ所、西日本17カ所リストアップ。工場見学やお出かけ情報に詳しい専門家に「菓子の魅力を伝えている」「ここでしか味わえないものがある」「ワクワクする」などの観点で東西6位まで順位付けを依頼。編集部で集計した。
今週の専門家 ▽青木之(クラブツーリズム)▽石原智(いこーよ地域名産品アナリスト)▽日下部かおり(JTBガイアレック)▽木下猛統(「月刊食品工場長」統括)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽中尾隆之(旅行作家)▽中村智彦(神戸国際大学経済学部教授)▽丹羽桃子(フリーライター)▽原亜樹子(菓子文化研究家)▽福元聖也(会社見学情報サイト「いるみる」運営者)▽吉田裕之(「関東東北じゃらん」編集デスク)=敬称略、五十音順
[NIKKEIプラス1 2019年4月13日付]
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