首相「2020年に新憲法」 9条に自衛隊明記
安倍晋三首相(自民党総裁)は3日、憲法改正について「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。都内で開いた民間団体のシンポジウムに寄せたビデオメッセージで表明した。具体的には、戦力の不保持などをうたう憲法9条を改正し、自衛隊の存在を明記する改憲案を挙げた。
首相の自民党総裁としての任期は、18年9月の総裁選で勝てば最長で21年9月まで可能。今回の発言は自身の任期中の改憲に改めて強い意欲を示したものとみられる。首相は「憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならない時期にきている」と強調した。
現行憲法の9条は戦争放棄と戦力の不保持を定めているが、自衛隊の根拠規定は明記していない。憲法学者などから「自衛隊は憲法違反だ」との指摘がある。
首相は「私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と語った。いまの9条の1項と2項は堅持したうえで、自衛隊の根拠規定を新たに盛り込む案は「国民的な議論に値するだろう」とした。
日本維新の会が検討進めている、高等教育を含む教育無償化にも意欲を示した。「誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を実現するうえで、教育が果たすべき役割は極めて大きい」と語った。