新型インフルエンザで、Jリーグの試合が中止になる可能性が出てきた。Jリーグは12日、東京・文京区のJFAハウスで実行委員会を開き、新型インフルエンザ対策を徹底。治療薬タミフルの常備とともに、選手に感染者が出た場合は当該チーム全選手を隔離の対象とし、発症から10日間は試合ができなくなることも伝えた。毒性の低いこともあって事態を静観してきたJリーグにも、いよいよ脅威が迫ってきた。
新型インフルエンザが、Jリーグの試合日程まで影響を及ぼす可能性が出てきた。「ひとりでも選手に感染者が出た場合、10日間は試合ができない可能性もある」と羽生事務局長。通常隔離されるのは「濃厚接触者」で、航空機では半径2メートル以内の座席とされたが、Jでは「チームの全選手」を対象にした。感染者が出場できないだけでなく、試合そのものが成立しなくなる。
この日は、J1とJ2合同の実行委員会。日本協会の福林スポーツ医科学委員長が、全36クラブの社長に向けて対策を伝えた。感染者が出た時のために、選手人数分×5日分(1日3回×5日)のタミフル常備を指示。「予防効果もあるので、感染者が出た場合は全選手が服用する」と羽生事務局長は説明した。
弱毒性ということもあって、現時点では試合開催の予定に変更はない。「神経質になり過ぎることはない」と福林委員長も話したが、一方で選手やクラブには一層の注意を促した。各都道府県の対策室との密な連絡も推奨した。14日の日本協会理事会後には、対策や注意点などをまとめた医科学委員会の文書が配られる予定。Jリーグはそれを各クラブに配布するとしている。
仮に試合が中止されれば延期となり、後日に回される。ただでさえギリギリの日程が、さらに過密になってしまう。複数のクラブが試合中止になれば、正常な試合消化も危ぶまれる。19、20日には鹿島と名古屋が上海と北京でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を戦う。「それも不安」と羽生事務局長は話した。最悪の事態を避けるためには、感染者が出ないことを祈るしかない。