その他野球2024.12.25 06:00

平井勉

◆菅谷啓之(すがや・ひろゆき)1960年(昭35)8月11日、千葉県生まれ。匝瑳高(千葉)―千葉大医学部。大学時代に硬式野球部で投手として活躍したが、右肩を痛め、その経験から整形外科医を志す。96年、学位取得後に米国へ留学。97年、川崎製鉄健康組合千葉病院整形外科部長。2002年、船橋整形外科病院スポーツ医学センター、2020年、東京スポーツ&整形外科クリニックを開院。プロ野球選手らトップアスリート100人以上の肩、ひじの手術を担当、リハビリ等の保存療法は1000人を超える。

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◆山崎哲也(やまざき・てつや)1961年(昭36)7月20日、新潟県生まれ。新潟高―滋賀医科大。横浜市立港湾病院、横浜市大病院等を経て、2000年、横浜南共済病院整形外科医長。日本肩関節学会、日本整形外科スポーツ医学会評議員など。プロ野球のDeNAベイスターズの前チームドクター。DeNA東克樹投手、カブス今永昇太投手ら100人を超すプロ野球選手を手術した実績がある。神奈川県内を中心に子どもたちの肩、ひじの健診を積極的に行っている。

■｢ケガで好きな野球を嫌いになってほしくない｣

病院の整形外科外来待合室。母親に付き添われた小学5年生の男児は「ひじが痛い」と診察に訪れていた。

順番を待つ時間、時折、母親が何事か話しかけるが、言葉は発せず、うつむいたまま、うなずくだけだった。不安からか、親子には悲壮感が漂った。

グラウンドへ目を移せば、こんな光景も目にする。

キャッチボール練習する仲間のそばで、「さあ、いこう!」と、声を出す小学6年生の選手。ボールを握ることなく、仲間を鼓舞している。

「ひじが痛いので投げるのを控えています。声を出すしかないので…。早く治して、みんなと一緒に野球をやりたいです」

投げられないもどかしさからか、人一倍の大きな声を出している姿が…。背中はとても寂しそうだった。

スポーツにケガはつきものだが、先生たちは「防げるケガはあります」と口を揃える。ひじや肩を痛めて、先生の元を訪れる患者さんは後を絶たない。

特に高校生以下の子どもが目立つ。

菅谷先生は「毎日、学校が終わった夕方には子どもたちが10人以上は病院へきます。子どもたちの障害は増えていると思います」。

医療の最前線では、ケガに苦しむ子どもたち、父兄の悩みがダイレクトに伝わる。だからこそ、先生たちには「子どもたちには、ケガで好きな野球を嫌いになってほしくない。特に小、中学生の選手、指導者、父兄の方には、どうすればケガしないのかというところに、もっと目を向けるべきだと思います」と共通の思いがある。

病院へ行かなくても、子どものスポーツ障害に関して、指導者や父兄でも簡単にチェックできるポイント(以下、画像とイラスト参照)を紹介する。それが定期的にできるかどうかで、故障予防につながることが多々あるという。

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