阪神近本光司外野手(30)が日刊スポーツの新春インタビューに応じ、内に秘める野球観をたっぷり語り尽くした。順調なら国内フリーエージェント(FA)権を取得する25年シーズンを「分岐点」と表現。2度目のリーグ優勝、日本一へのモチベーション、さらにはキャリアの終盤に向かっていく心持ちまで。へび年にちなんで今年「脱皮」したいものとは? 一言一句に近本イズムが詰まっていた。【聞き手=柏原誠、山崎健太】
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-新年、明けましておめでとうございます。今年はいろいろな意味で節目になります。30歳で迎えるシーズン、FA権取得年。例年とは違った心境では?
近本 過度なプレッシャーや期待感はできるだけ感じないようにしています。そこを意識すると、プレーに影響が出る。できなかったら仕方がないと思える割り切りもある。ダメだったら自分が悪い、と思っている。今まで6年間やってきたんですけど、今年はFAの年だし、実際に30歳になってからのプレーなので。先のことを考えると、すごく大きな分岐点になる1年かなとは考えています。
-昨年はプロ野球を10年はやりたいと言っていた
近本 昨年で6年目が終わりましたが、仮にプロ野球生活を10年と考えた場合、前半の5年はプレーヤーの地位を作り上げていく5年だったと思う。昨年から始まった後半5年というのは、プレーヤーとして終盤を迎えていく中で、その5年の中で終わるのか、さらにその先に続くのかという意味で、すごく大事な5年だと思います。
-23年に多くの感動を味わった。またあそこに行き着きたいという気持ちはモチベーションか
近本 また違う優勝を味わいたいな、と思います。同じことって多分、面白くないと思うんですよね。僕が理想を描いてイメージして、それが実際にプレーとして表れた時って『うわ、できた』と思うんですけど、あくまで予想できているプレーなので面白くはないんですよ。それより、予想外だったときの情報をフィードバックして、なんでこんな打球になったんだろう、自分はこうしたいのに何で…となったら面白いじゃないですか。考える過程が。23年は初めての体験だったからあれだけ感動したわけであって。2回目は2回目の面白さがあるかもしれないけど、でも2回目は違うところに面白さを見いだすのかなと、思います。
-個人的にもいろいろチャレンジをしているから味わいも変わってくる
近本 多分、その時とはメンバーも違うし、対戦相手も違う。同じシチュエーションで同じ感動ってできない。でも記憶の中には(優勝が)あるので、もう1回味わいたいなというのはありますけどね。
-その意味では監督が代わったところが前回とは一番大きな変化になる
近本 監督が代われば野球が変わる。出ている選手も変わる。1年たてば相手も変わりますから。(藤川監督とは)選手で2年かぶっていますが、選手の時とは発言も考え方も変わってくると思うので、やってみないと分かりませんね。
-今年はへび年。脱皮するので縁起がいいとされる
近本 僕は毎年、脱皮しようと思ってやっています。脱皮できないんですけどね、なかなか。
-一番脱皮したい部分は
近本 急に何かがレベルアップ…。それで言えば身長が伸びてほしいなあ。身長伸びたら足も速くなるだろうし。こんなこと書くんですか?(笑い)
-それでも打撃のタイトルはほしいのでは?
近本 それもね…(笑い)。あるに越したことはないし、もらえるものはもらった方がいいです。でも大事なのは、そこを目指すのではなく、自分の理想のプレーを求めることです。こんな打球を打ってみたい、こんな走りをしてみたい。その積み重ねで、ヒットが何本だった、打率がどうだった、盗塁が何個だったという結果が出て、それを誰かと比べた時に高いか低いかだと思うので。
-個人の理想を求めながら、チームスポーツだから優勝の感動を味わうためにやっている
近本 そりゃあ、そっちですよ。ベースとして、チームの優勝という目標があります。でもチームの優勝についてどれだけ語っても、チームに対する思いになるじゃないですか。それは誰にでも言えるかな。みんな基本的にそれは思っていることです。
-キャリアを10年単位で考えている、と。昨年から大事な終盤の5年が始まっている
近本 僕の中では、能力(不足)で野球をできなくなるのは仕方がないこと。もっとこうしておけばよかったというのは多分、僕は思わない。でもケガをしてしまうと、自分ではどうしようもできない葛藤だったりが出てくると思う。とにかくケガをしないというところかなと思いますね。
-現役が長く続いていけば見えてくる数字や記録もある。そこは意識するのか
近本 僕は基本的に目標とか数字とかは言わないタイプです。毎日の積み重ねで、最終的な結果として数字として残って、それが記録になると考えている。今からそういうことを意識することはあまりないです。でも、ここまで積み上げてきた記録というのもあるから、そこを伸ばすことは意識します。たとえば、シーズン終盤になってきたら、ある程度、打率はこう、盗塁はこうだなと(成績が)見えてくるように、ここまで6年やりましたが、じゃあ残りをケガなく続けていけたとしたら、だいたい3年後、4年後、10年たった時にこんな数字になるのかな、というのは見えてくる。でもそこを意識するより、まずは1年、1年を戦っていく方が僕は楽しいですね。
-毎年200安打という数字が大目標としてある。バットマンとしては追いかけたい数字では
近本 そこで160本とは言わないでしょ?(笑い)。周りがどう思っているか分からないですけど。まあ、また言っているわ、くらいで思ってくれたらいいです。かといって、200安打を達成できなかったら『できませんでしたね』と言われるわけでもないという…。個人的に、内に秘めた目標、裏の目標はあるけど、それは僕は言いたくないんですよね。プライベートというか。僕が表向きに言う時は、数字よりプレーですね。こういうプレーをしたい、とは言います。でもそれだけじゃメディアの方には弱いでしょうから(笑い)。
-それでも打撃のタイトルはほしいのでは?
近本 それもね…(笑い)。あるに越したことはないし、もらえるものはもらった方がいいです。でも大事なのは、そこを目指すのではなく、自分の理想のプレーを求めることです。こんな打球を打ってみたい、こんな走りをしてみたい。その積み重ねで、ヒットが何本だった、打率がどうだった、盗塁が何個だったという結果が出て、それを誰かと比べた時に高いか低いかだと思うので。
-個人の理想を求めながら、チームスポーツだから優勝の感動を味わうためにやっている
近本 そりゃあ、そっちですよ。ベースとして、チームの優勝という目標があります。でもチームの優勝についてどれだけ語っても、チームに対する思いになるじゃないですか。それは誰にでも言えるかな。みんな基本的にそれは思っていることです。
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