最新記事
研究

読書は「認知機能の低下を防ぐ」「メンタルヘルスと関係」「死亡率が下がる」でもネットはダメ

My Reading Resolution

2025年1月17日(金)11時00分
アブドラ・シヒパー(米ブラウン大学公衆衛生大学院研究員)
読書 高齢者

外の世界から離れて集中できる読書は「認知的忍耐力」も強化する ROCKAA/ISTOCK

<最新研究で分かった「本を読むこと」の効果。毎日30分の強制読書を自ら実践した研究者が気付いたのは...>

ここ何年も、もっと読書に時間を費やしたいと思っていた。でも仕事やらソーシャルメディアやらに時間を取られ、本など開かずベッドへ直行する日々だった。

娯楽のために読書をするアメリカ人は、年々減少している。2004年のアメリカ人の読書時間は1日当たり23分だったが、19年には16分に減った。調査によれば、過去1年間に少なくとも1冊の本を読んだと回答した人は12年には54.6%。22年には48.5%に減少している。


これがアメリカ人全体の識字能力の悪化に拍車をかける。少なくとも1億3000万のアメリカ人は、小学6年生以下の読解力しかない。

読書、あるいは読書の欠如は社会全体だけでなく人々の生活にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

例えば、高齢者を対象にしたある研究によると、より多くの読書習慣がある人(過去3カ月間に1~5冊読んでいるなど)はメディケア(高齢者医療保険制度)についての知識も豊富で、賢く利用できる傾向がある。

他の研究では、読書は加齢に伴う認知機能の低下を防ぎ、高齢者の記憶力強化に役立つことが明らかになった。幼少時の読書は、10代になってからの認知能力向上とメンタルヘルスの安定と関わっている。

本を読む人は読まない人に比べて死亡率が20%低下するとした研究もある。この「生存優位性」は雑誌や新聞よりも本を読むほうが高かった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

NZ金利はなお制約的、中立水準に向け低下へ=中銀高

ビジネス

マスク氏、大株主のノルウェー政府系ファンドCEOに

ビジネス

ムンバイでガソリン・ディーゼル車禁止案、州政府が検

ビジネス

ドイツ銀、中国の合弁事業巡る交渉決裂 出資比率で折
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? 専門家たちの見解
  • 3
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 4
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 5
    AI相場に突風、中国「ディープシーク」の実力は?...…
  • 6
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 7
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    天井にいた巨大グモを放っておいた結果...女性が遭遇…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中