もう手遅れかもしれない。それでも私たち国民は「トヨタこそ日本が誇る優良企業だ」という洗脳から抜け出す必要がある。平成の失われた30年、先進国でほぼ唯一賃金が上昇しなかったわが国。トヨタの大躍進と反比例するように、日本経済が没落していったのはなぜなのか。元国税調査官の大村大次郎氏が、日本経済最大のタブーに斬り込む。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:トヨタは日本衰退の象徴
この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう
トヨタは日本経済に「貢献していない」衝撃の事実
本メルマガでは、前2回で「近年の日本の税制はトヨタなど大企業ばかりを優遇している」ということをご説明してきました。
筆者は、定期的にエゴサーチをしているのですが、本メルマガの記事に対して、
「トヨタは日本の基幹企業なんだから大事にするべし」
「トヨタの社員は潤っているんだから間接的に日本経済に貢献している」
という反対意見をチラホラ見かけました。
そういうふうに思っている日本人も多いと思います。
が、これらの意見はとんでもない勘違いをしています。
確かにトヨタは日本最大の企業であり、日本経済にとって重要な存在です。トヨタがつぶれれば、日本経済は大きな打撃を受けるでしょう。
だからといって、トヨタばかりを優遇する税制を続けていれば、ほかの産業にひずみが出て、結果的には日本経済を停滞させることになります。
実際、現在の日本経済はそうなっているのです。
トヨタは、近年、世界最大の自動車販売を何度も記録し、史上最高収益を何度も更新しています。しかし、トヨタの大躍進と反比例するように、日本経済は衰退しています。
「トヨタの社員は潤っているから間接的に日本経済に貢献している」というのは、あきらかに大きな勘違いです。
というより、トヨタはこれだけ儲かっていて、税金もほとんど払っていないのに、この2~30年、社員の賃金をケチりにケチってきたのです。