ゴールド価格は現在、大幅に下落しています。しかし金貨の生産量を見るとわかりますが、供給量が抑えられています。ロシアでは帳簿上は存在するはずの防弾チョッキがなかったというニュースがありますが、金ETFでも現物は存在しないことが明らかになり、世界で金融リセットが起きるかもしれません。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2022年10月9日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
現物はどこに消えた?ロシアの防弾チョッキ
ロシアでショート・スクイーズ(踏み上げ)が起きています。貴金属ではありません。命を守る防弾チョッキです。
露軍備蓄倉庫から兵士の戦闘服が150万着あるはず。なのに無いというニュースが流れました。伝票や帳簿上ではあるのですが、現物が無い。現物引取りできないのです。
それで通販の防弾チョッキの値段は誰も買えない程の値段になっています。
戦闘服はさすがに通信販売では売っていないでしょう。ということで、露軍新兵はジャージを重ね着して、防弾チョッキを着て、白い市販のダウンジャケットを羽織って前線に行くのでしょうか?
金ETFも現物引取りが起きた場合、実は保管倉庫に無かったということになるかもしれません。
5月でしたか、ロンドン金属市場でアルミニウムが実際に無く、ショートスクイーズで市場が崩壊したことをお忘れなく。
需要は高くても大幅下落したゴールド価格
先ずはこちらの画像を御覧下さい。
★(ア)COMEXの金地金現物引取りトン数です。
誰が買っているのかわかりません。しかし何のために買っているのかは簡単です。
怖いからです。安全資産に変えたいからです。
★(イ)米国造幣局の金貨生産量(トン数)です。グラフの最大値を120トンにして左右比較を容易にしています。
供給量が限られており、卸でのプレミアムが高く、庶民は買いたくても買えないのです。
大幅下落したゴールド価格を見て、買うのを躊躇する人がいるそうです。
現物がないままペーパーゴールドが売買されている、ピーター・ハンブロの話を知らないからでしょう。
西側でも東側でも起こる金融リセット
金鉱山の2022年第2四半期には、明確に物価上昇の影響が出ましたが、エネルギー、鉄鋼資材分野での上昇分はまだ織り込みされていません。
プーチン・インフレは、まだこれからです。売却するにしても、数年後、最低でも2年先でしょう。
西側の経済制裁は効果が効きにくい。対してロシアの西側に対する反撃制裁は効果が出ています。
人類文明の基礎はエネルギーだからです。
下記は私の妄想です。(侵攻後から私は見解を変えていません)
プーチンは 敗北するしかありません。プーチン亡き後の弱体化したロシアは、非常に不安定になるでしょう。また、中国と欧米の対立軸が生まれ、その間のどちらにも吸収されたくない南米、中東、アフリカ諸国の多極化が起きるでしょう。
先進国と呼ばれる欧米諸国の弱点が、明確に示されました。食糧生産国、天然資源国の強みです。
そうなると西側の支払通貨は、これまでと同じ米ドルなのでしょうか?
それとも、プーチンが願っていたゴールド決済?
しかし、どちらにしても、インフレは残ります。そして西側内の諸国家では 国民の
貧富格差の拡大で大きな不満が国民の間で溜まります。
プーチン戦争で戦費の膨張による放漫財政が国家財政を圧し潰し、西側では金融システムのリセットが必要となるでしょう。日本も同様です。
日本は敗戦直後から物価が高騰し 戦前の紙幣は全く価値を失いました。 新紙幣を印刷することもできず、取り敢えず、旧紙幣に証紙を貼って、新紙幣として通用させたのです。
後は全て無価値に!つまり、第二次大戦後の敗戦国日本のような状況が、西側にとっても東側にとっても、必要になるとしか思えないのです。
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