タイムブロッキング」というライフハックがあります。

これは「特定の時間枠に、特定のタスクを割り当てることで、一日を最大限に活用する」というもの。要するに、タスクをスケジュール帳に書き込み、それに従って1日を送るという意味です。

もちろん漫然とではなく、時間帯ごとの自身のエネルギーレベルや、私生活との兼ね合いなど考えながら、スケジュールを組み立てていきます。

ジョージタウン大学のカル・ニューポート准教授(『超没入』や『SLOW 仕事の減らし方』の著者)といった著名人も実践し、今では多くのビジネスパーソンが、このやり方を取り入れています。

筆者も、2週間先までのあらゆるタスクを、Google カレンダーにタイムブロックしていました。

筆者のタイムブロッキングの例
筆者のタイムブロッキングの例
Screenshot: 鈴木拓也 via Google カレンダー

もはやストレスしか感じなくなった理由

そうして数年経った昨年末、この方法を続けることに、ひどくストレスを感じるようになりました

「一時的なものかな……」と思いながら、タイムブロッキングは続けていましたが、どんどん億劫になっていったのです。しまいには、Google カレンダーを開くのも嫌になってしまいました。

こうなった理由を調べ、胸に手を当てて考えてみました。

それはまさに、『「タイムブロッキング」が私に向かなかった6つの理由。生産性が向上しないこともある』に書かれている内容と、まったく同じ理由でした。

つまり──

  • ずっと追いかけられているようなプレッシャー
  • 予期せぬ事態に対する柔軟性が皆無
  • カレンダーを常に確認してしまう
  • 隙間時間を埋めないと気が済まなくなる

こうした要素がないまぜになって、筆者はカレンダーを遠ざけていたのです。

もちろん、タイムブロッキングが性に合っていて、長く使っている人もたくさんいます。でも、筆者にはもう、どうにも無理でした……。

Advertisement

スケジュールはWordの箇条書きで

言うまでもなく、スケジュールをまったくつけない生活というのは、考えられません。

特に、外に出かけて取材したり、オンラインで打ち合わせする予定は、うっかり忘れやダブルブッキングは許されないもの。

Google カレンダーを止めた後、そうした予定はMicrosoft Wordに箇条書きしていました。情報は簡潔にして最低限です。

24日

13:00 A社 (12:10駅発) ICレコーダーとカメラ忘れず

15:30 B社 (A社最寄り駅 14:50発までカフェで時間つぶす)

というふうに。

要は、日時の入ったTo Doリストです。実はGoogle カレンダーを活用する前は、もっぱらTo Doリストのアプリを使っていました。

原点に回帰した感じですが、違うのは、本当に重要なスケジュールと備忘録以外は、何も書かなくなったことです。

かつては、記事企画のネタ探しや原稿の推敲といった仕事はもちろん、エクササイズ、買い物、洗濯、ゴミ出しなど、生活のこまごまとしたことまで記していました。

しかし、今回それはやめました。アポイントや厳密な締め切りがあるもの以外は、頭の中にふんわりととどめておくだけです。

これを「ゆるタイムブロッキング」と呼んでいます。

Advertisement

心理的なストレスから完全に解放される

筆者にとって、「ゆるタイムブロッキング」がもたらした恩恵は大きいものでした。

かつては、いつも切迫感があり、業務の見積もり時間がオーバーすると焦り、隙間時間が残っていると不安になったものです。

そのすべてから解放されました

従来の「あらゆる時間を埋めるタイムブロッキングはもうたくさん!」という方や、これまでの時間・タスク管理メソッドに窮屈さを感じていた方には、「ゆるタイムブロッキング」がきっとマッチするでしょう。

次のページ>>
そんな筆者が編み出した「ゆるタイムブロッキング」実践方法
12