Inc.:私はかつて夜明け前に起床していたことがありました。朝5時にルームメイトとニューヨーク市内の通りをふらふら歩き、お互いに頭に浮かんだことを何でも話したものでした。

早朝の散歩中に目にする光景も素敵でした。昇りゆく太陽を見つめ、店員さんたちが店のシャッターを上げる姿を眺め、運が良ければ、誰も見ていないときに地下鉄のポスターをこっそり交換する人を目撃したものでした。世界が私たちの目の前で目覚めていく様子を見ることができたのです。

残念ながらこの早起きが続いたのは3週間でしたが、世の中がまだ眠い目をこするより前に起床するとどれだけ力を得た気分になれるか、私は決して忘れませんでした。

これはもう一度やってみないといけないと思いました。それで今年の抱負はこれにしました。「毎朝5時に起きること。何があっても途中で絶対やめないこと。」

2カ月続けてみると、その良さは以下の3つだということがわかりました。

1. 早起き自体が達成感をもたらしてくれる

しばらくの間は早起きを実践するべく試行錯誤の連続でした。見事なまでに失敗したことも何度かありました。何度も真面目な気持ちで挑戦して、稀に朝5時起床にできることはありましたが、たいていはスヌーズボタンを押して失敗に終わりました。

でも、これまで重ねた失敗も今はありがたく思います。それがあったからこそ、毎朝予定通りの時間に起きるたびに、勝った気分になれるからです。『「週4時間」だけ働く。』の著者、ティモシー・フェリス氏も「朝から勝った気分になると、その日は1日勝ったことになる。」と言っています。

今や私は、早起きで有名なバージングループ会長のリチャード・ブランソン氏、ハフィントンポスト創業者のアリアナ・ハフィントン氏、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏より早い時間から動き出しています。朝をスタートさせるのは素晴らしい気分です。気分を高揚させるためにコーヒーを飲んだり、明るいビデオを見たりする人もいますが、とにかく起床するだけで、私は自分で自分の1日をコントロールしている気がします。単に起床するだけで、何か正しいことを成し遂げた気がするのです。

2. 朝の時間を自分の好きなことに使える

アメリカでは平均起床時間は午前6時から7時半です。ということは、5時に起きる私には、電話が鳴り始める時間帯になるまでに1時間から2時間はたっぷりあるということです。その時間は急ぎのメールも、電話も、緊急に対処すべきことも一切ありません。唯一することと言えば、「今朝は何をしたい気分だい?」と自分に問いかけることです。

普段の私の早朝の過ごし方は、お気に入りのプレイリストを聞いたり、新聞や本を数分読んだりした後に、ジムに行くというパターンです。

これぞ贅沢というものです。ベッドから転がり出てタスクの嵐に直行する代わりに、世の中より2時間先に1日をスタートして、自分にとって大切なことを実践できるのですから。

そして、さらに良いことに、職場に到着するころには、心の落ち着きと幸福感が高まるので、これから始まる1日に余裕をもって臨めます。

3. 生活全般に規律ができる

ベッドの中で温かい布団にすっぽりくるまっているとき目覚まし時計が鳴りだすと、起きるのはこれ以上ないほど大変です。「だって疲れているんだもの」「あと5分寝たからってどうってことないでしょう」と頭の中で眠たい声が小さく囁きます。

自制心を養うことは筋肉をつけることと似ています。たとえば、毎回サイドプランクをするたびに、筋肉がヒリヒリしますが、腹斜筋が強化されています。同じように、無理をしてでもベッドから出ると、自制心が強くなります。これは単に早起きにとどまらず、生活全体に及びます。たとえば、最近の私は1つの作業に以前より集中できるようになりました。

以前の私なら無理だった習慣を今は維持できています。何よりも重要なのは、自分の意志の力に自信が出てきたことです。いったんベッドを出たら、どんな困難にも立ち向かっていける気がします。

どうやって早起きを習慣化するべきか?

世の中には生まれつき夜型の人もいると認めることは、やぶさかではありません。そういうタイプの人は、そのまま夜型の生活を続けてください。でも、まだ自分の本領を発揮できていないと頭のどこかで思っているなら、もしかすると早起きすることで生産性の頂点を極められるかもしれません。

それに、早起きすると言っても必ずしも午前5時に起きる必要はなく、今の起床時間より早ければいいのです。もちろん早起きの習慣は一夜にして身につくわけではありませんし、それに関係した小さな習慣をいくつか身につけていく必要もあります。

  1. 意識的に前の晩はいつもより寝る準備を早めにスタートしましょう。就寝時間の2時間前には一切の電子機器を遠ざけてください。
  2. 就寝前のルーティンを作りましょう。
  3. 早く眠りにつく方法を見つけましょう。具体的には、深呼吸する、翌朝最初にする予定のことを3つ瞼の裏に思い描いてみる、使用者を疲労させるように設計されたアプリを使う、などがあります。
  4. 何が何でもベッドから出ざるを得なくさせてくれる目覚まし時計を手に入れましょう。

早起きは確かに大変です。でも、その習慣を身につけると、朝から勝利感を得られ、朝の時間を取り戻し、生活に規律が生まれます。世界中から「やったね!」とハイタッチされた気分になりますよ。

Why You Should Wake Up at 5 A.M. Every Day | Inc.

The Muse(訳:春野ユリ)

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