敏腕クリエイターやビジネスマンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ第23回です。ラップ音楽の歌詞解説ウェブサービス「Rap Genius」の創業者トリオに続く今回は、「伝説のエバンジェリスト」ことガイ・カワサキ(Guy Kawasaki)氏にインタビュー。
ガイ・カワサキ氏が当時まだ無名だったApple社のチーフ・エバンジェリストを務めていたのは、かれこれ30年前。「マッキントッシュが何をなしえるかがわかったとき、雲が晴れ、天使が歌いだしたようだった」そうです。また、カワサキ氏はAppleを退職後、ソフトウエア開発会社のACIUSやFog City Software、ベンチャーキャピタルGarage Technology Ventures、オンラインマガジンラックAlltopをはじめ数社を創設し、コンサルティングやパブリック・スピーキングのキャリアを積み、10冊の書籍を執筆。最新刊の『APE: Author, Publisher, Entreprenuer』では出版者の役割も担っています。
多方面にわたって活躍の場を広げる「伝説のエバンジェリスト」は、日頃、どのように仕事と向き合い、多忙なスケジュールをこなしているのでしょうか。米Lifehackerがじっくり聞いてみました。
お気に入りの時間節約術は何ですか?氏名:ガイ・カワサキ(Guy Kawasaki)
職業:作家、出版者、起業家
居住地:米・カリフォルニア州シリコンバレー
現在のコンピューター:MacBook Air(13インチ)
現在のモバイル端末:Samsung Galaxy SIII(iPhoneは利用せず。Android派)
仕事スタイル:厳しく
カワサキ:実はたいしたショートカットはありません。長時間ハードに働き、直面している課題を常にクリアしているだけです。
愛用中のToDoリストマネージャーは何ですか?
カワサキ:自分の知力へのチャレンジとして、リストは作らないことにしています。脳の退化を遅らせるべく、やるべきことは自分で記憶するようにしています。
「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは何ですか?
カワサキ:Microsoft Word、Outlook、PowerPoint、Evernote、ファイル共有サービス『YouSendIt』、定型文アプリ『TextExpander』、家族の安否確認アプリ『Life360』、Google Chrome、Google+用Androidクライアント、画像加工アプリ『Lightroom』、旅行管理アプリ『TripIt』、富士通のドキュメントスキャナー『 ScanSnap S1500』、ダイモ(Dymo)社のラベルライター『LabelWriter 450 Twin Turbo』、そしてNexus 7です。
携帯電話とコンピューター以外で「これは必須」のガジェットはありますか?
カワサキ:Nexus 7です。(カワサキ氏のGalaxy SIII)
仕事場はどんな感じですか?
カワサキ:自宅にオフィスがありますが、物を書くときは、米カリフォルニア州レッドウッドシティのCafe La Tartineや、メンローパークのCafe Barrone、Ann's Coffee Shopにいることが多いです。自宅では、ひとつの部屋で27インチのiMacを使い、27インチのThunderboltディスプレイをMacBook Airにつないでいます。空路での移動も多いので、定席であるヴァージン・アメリカの2Cとユナイテッド航空の1Aのシートで、自著の多くを執筆してきました。
仕事中、どんな音楽を聴いていますか?
カワサキ:僕はメニエール病にかかっています。その症状のひとつが耳鳴りで、四六時中、耳の中で音が聴こえています。仕事中に音楽を聴くことはめったにありません。僕は、自分の周りで起きていることも忘れて何時間でも没頭できるくらい、ガッツリ集中できるタイプなんです。
睡眠習慣はどのようなものですか?
カワサキ:午後7時から夜中まで仕事をし、朝7時15分に起きて、娘を学校に送って行きます。ホッケーをしないときは、午後10時半から11時15分まで自転車に乗ることもあります。
あなたはどちらかというと内向的ですか、それとも外向的ですか?
カワサキ:内向的ですね。実はめちゃくちゃ内向的です。公の場に出る機会も多いし、ソーシャルメディアでのプレゼンスも高いので、びっくりされるかもしれませんが、仕方なくやっているだけです。注目される必要はないので、無名のままひっそりと暮らせたらすごく幸せでしょうね。3人分の私立の学費と1人分の大学の学費を毎年支払わねばなりませんし、一番下の子どもはまだ7歳なので、まだまだ働かねばなりませんが。毎日、子どもたちと一緒にすごし、ホッケーがするのが、理想です。
日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?
カワサキ:そのへんのスピーカーよりは、聴衆を惹き付けるスピーチをうまく仕立てられることです。
これらの質問に対する答えをぜひ聞いてみたい人はいますか?
カワサキ:特にいないですね。ライフハックには絶対的な正解も間違いもありません。自分に効果があることもそうでないこともある、というだけです。また、相関関係と因果関係の違いも理解しているつもりです。例えば、有名作家のJ・K・ローリングがモンブランの万年筆を使っていることを僕が読んだとして、同じ万年筆を使えば、僕の本もミリオンセラーになるというわけではない。ちなみに、彼女は僕と同じMacBook Airを使っているそうですが。
これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください。
カワサキ:ライフハッカーを自分のホームページにせよ。
この他、何か伝えたいことがあればどうぞ。
カワサキ:僕には電子メールに関するセオリーがあります。それは「受信から21日以上経過したメールはすべて消去しても問題ない」というもの。もし、消去したメールが重要なものなら、送信元の人がフォローしてくれるはずという前提に立ったセオリーですが、こうすると気分が落ち着きます。受信トレイをすべてなくしたのに「返事がない」と誰も文句を言ってこなかったことがあり、「この方法はイケる」と気づきました。
メールの大胆な整理術としては、ライフハッカーアーカイブ記事「Digg創業者が伝授、大量のメールに対処するための5つのコツ」や「大量のメールでどうにもならないときの究極の策『メール清算宣言』」などもあわせて参考まで。
Tessa Miller(原文/訳: 松岡由希子)
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