きっと誰もが経験あるはずです。ぼんやりとしたアイデアやプロジェクトの目標を与えられて、いったい何から始めればいいのかさっぱりわからない、という経験が。Googleのソフトウェア開発者Vivek Haldar氏は、この問題を解決するための「具体的な4段階アプローチ」を紹介しています。

あらゆるプロジェクトはぼんやりとしたイメージから始まります。この混沌とした状態に、形ある具体的なアイデアを持ち込んだ者こそが、最大の功労者となるのです。とはいえ、簡単なことではありません。私自身、このプロジェクト初期の段階にどうアプローチすればいいのか、いまだに模索中です。以下に、個人的な体験と観察から、わずかずつでも学んできたことをご紹介したいと思います。■基本原則を決める

設計作業に入る前に、まず「基本原則」を考えるようにします。例えば、「Gmail」のプロジェクトでは、「Eメールのナビゲーションで最も重要なのは『検索』である」という基本原則を選択しました。この基本原則はプロジェクトの核となるものであり、今後のすべての作業に影響を与えます。あとから簡単に変更できるものではありません。時間をかけて徹底的に考え抜いてください。このフェーズこそ、数々のプロジェクトを経験してきたベテランエンジニアの助けを借りましょう。基本原則の決定は本当に大変な作業です。ドキュメント化もしっかりしておきます。それがあなたのマニフェストとなります。

まず、背骨をしっかり作り、それをベースに少しずつ骨格を形成していきます。

■具体的なアイデアを見つけ、その上に構築する

この段階ではよくプロトタイプが用いられます。プロトタイプには機能的な抜けも多く、致命的な欠陥があるかもしれません。見苦しく、まどろっこしいかもしれません。しかし、それでOKなのです。大事なのは「それが具体的なものである」ということです。そして、そこから育てていけるものであることです。

繰り返しますが、プロトタイプは具体的かつ手で触れられるものであるべきです。デモとして動かしてみせたり、実際に遊べたり、議論し批判できるものであることが大切です。ただの設計書を見ても誰も興奮などしません。実際にプロトタイプに手で触れたとき、人は初めて興奮するのです。

■育てる

プロトタイプができたからといって、それで終わりではありません。少しずつ育てていきましょう。何か新しいものを付け加えたり、小さな改善を行ったりします。ゼロから作り直す必要はありません。少しずつ変化させていけばいいのです。

いずれはそのプロトタイプを放棄する時がくることでしょう。理想的なのは、プロトタイプを通して何か大きな洞察が得られ、あなたがプロジェクト当初に抱いていた固定概念を突き崩してくれることです。そのときこそ、プロトタイプが本来の目的を果たし、その役割を終えるときなのです。

■学習と軌道修正をスピーディーに繰り返す

ポイントは、学習と軌道修正をスピーディーに繰り返すことです。決して完璧で「正しい」ものを作ろうとしないこと。あなたが今「正しいと思っていること」はきっと正しくありません。もちろん他のメンバーが考えている「正しいこと」も正しくないでしょう。リアルで具体的なものを通して学ぶことでしか、何が正しいのかはわかってこないのです。

失敗と軌道修正、とにかくそれを繰り返すのです。

On Vagueness | Vivek Haldar

Vivek Haldar(原文/訳:伊藤貴之)