この1年で、立ったまま仕事をする「スタンディングデスク」はポピュラーになりました。未だに筆者に、「まだ立ったまま仕事をしているの?」と聞いてくる人もいるそうですが、答えは「イエス」。そこで今回は、筆者がこの1年間スタンディングデスクを使用して学んだことを、プロの「スタンディスト」の目線でご紹介していきましょう。
座ることは大事
筆者が働く日の典型的な一日は、8~9時頃にスタートし、17~18時頃に終わります。その間中、ずっと立っているわけではありません。朝から昼食を取るまでの間は立っていて、昼食の後も数時間はまた立っています。それから、オフィスの小さなテーブルに座って仕事をすることもあります。足を上げたくなったら、古いリクライニングチェアに陣取って足を伸ばします。昼食時や電話会議などの間も座りますし、ペーパーワークやiPadで何かする時も座っていることが多いです。
スタンディングデスクの利点
背中や腰にとてもいいですし、姿勢も良くなります。仕事をする時の基本姿勢は、足をまっすぐにして立ち、肩を軽く引いて背中や腰は背骨のS字アーチを意識します。ちょっと足を休ませるためのフットレスト(売れ残りの本の箱)がありますので、ひざが固くなってきたら、片足ずつ乗せたりします。立って仕事をし始めてから、最初の数週間で体重が約1~2キロ落ちました。肉体的にも精神的にも、全体的にアクティブになりました。1日中立ちながら仕事をするのに慣れると、週末どこかで長時間立って並ぶのも苦じゃなくなったのです。スタンディングデスクのお陰で、自然と立っている時はアクティブな仕事を、座っている時は受け身的な仕事をするという風にわかれました。脚も脳も朝は元気なので、コーディングやライティングのような、集中して効率よく進めたい仕事を1日の最初にやります。午後には少し疲れて座りたくなるので、メールでのやり取りやRSSを読んだり、TwitterやFacebookのチェックなどをします。このように、明確にギアチェンジするようになると、肉体的にも精神的にも、その時に合った仕事に脳が取り組むようになるのです。
スタンディングデスクの欠点
1日中立っていることに慣れた後は、長時間座っていることが快適ではなくなりました。大陸を横断するような長時間のフライトや長い映画を観ている間でも、背中や腰が固くなって痛くなってきます。この12カ月でふくらはぎのクモ状静脈がかなり鍛えられたようです。一般的にこのくらいの年齢の女性や、筆者の親世代の人たちは、スタンディングデスク無しでクモ状静脈を鍛えるのは難しいかもしれません。立ちっぱなし(座りっぱなし)はクモ状静脈に良くないと言われています。
労働時間中に立っていて疲れると、1日の終わりにジムに行ってトレーニングするのが辛くなりました。1日中座っている時はかなりまったりしているので、仕事が終わったらジムでひと汗かくのが楽しみでした。1日中立って仕事をした後は、ただ座りたいだけです。ジムは朝に時々行く程度で、それ以外は全然行かなくなってしまいました。座っていた時に比べると、立って仕事をするようになった方が1日に燃焼するカロリーは高くなりましたが、机で立って仕事をすることは、ジムなどでのいいトレーニングには及びません。
筆者は家でひとりで仕事をしています。仕事場では座っている人ばかりなので、自分ひとりがスタンディングデスクで立って仕事をするのは気が引ける...という人もいるでしょう。その気持ちはよくわかります。座って仕事をしている人に囲まれているような状況だったら、スタンディングデスクを使ったかどうかわかりませんし、いい机を2つ持てるほどの余裕も無かったかもしれません。
一度数週間スタンディングデスクを使ったら、座ったままでフルタイムの仕事をする生活に戻りたいとは思わなくなるでしょう。正直言って、まったく考えたこともありません。もし、読者のみなさんの中に「スタンディングデスクを使っていたけど、また元の座る生活に戻したい」と思っている人がいたら、ぜひその理由をコメントで教えてください。One Year at My Standing Desk|Smarterware
Gina Trapani(原文/訳:的野裕子)
Photo remixed from dno1967b(Flickr)