ライフハッカー編集部様

古いコンピュータが数台あるので、チャリティ団体に寄付しようと考えています。ドライブは外さず、寄付先で使える状態で寄付したいのですが、その前に、自分のデータを確実に消去しておきたいです。方法を教えてください。

PN:ちょっと被害妄想(Partially Paranoid)

Photo by Josh Carlson.

 ちょっと被害妄想さんへ

古いコンピュータを寄付するというのは、いい考えですね。あげる前にキレイにして、寄付先で使える状態にしておくのもいいことです。幸い、自分のデータをすべて消去するのは、それほど大変なことではありません。他人に譲り渡す前はもちろん、廃棄する前にも、ぜひやっておきたいことです。では、手順を見ていきましょう

■すべてのバックアップをとる

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言わずもがな、まずは寄付しようとしているすべてのコンピュータから、個人データをバックアップしましょう。どこかのドライブに重要なデータがまだ残っているかもしれません。具体的な手順については、こちらの記事などを参照してみてください。


■ツールを準備する

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すべてのデータをバックアップしたら、システム上のハードドライブを完全かつ安全に消去できるツールを準備しましょう。

Photo by Kevin Walter.




Windows/Linux:Windowsユーザなら、Windows DVDを立ち上げて、ドライブを初期化するという方法もありますが、すべてのデータが安全に消去される保証はありません。PCのハードドライブを安全に消去するためのブータブルCD・DVDを作成できる『Darik's Boot and Nuke』(DBAN)のようなツールがオススメです。ダウンロードして、空いているCDもしくはDVDに落とし、PCの立ち上げに使いましょう。


Mac OS:Macでは、消去したいドライブのほかに、Macと立ち上げられるブートディスクが必要です。Mac OS DVDを使う場合は、DVDを挿入し、ハードドライブではなく、DVDが立ち上がるようにスタートアップ時に「C」キーを押し続けましょう

Firewireを通じて、Macを別のコンピュータに接続する場合は、2台のMacを接続し、通常のまま残しておきたい側のMacを立ち上げ、もう一方は、「T」キーを押し続けて「ターゲットディスクモード」で起動させます。すると、「ターゲットディスクモード」で起動したMacのデスクトップに外部ドライブが現れるはずです。

光学式ドライブやFirewireポートのない、比較的最近のMacやLionの動作するMac、Macbook Airの場合は、ブータブルUSBドライブを作成できる『Lion Recovery Assistant』をダウンロードできます。


■ ドライブを消去する

ツールが準備できたら、いよいよシステム上のドライブを消去しましょう。

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Windows/Linux:CD・DVDを立ち上げるには、BIOSに移動する必要があります。ほとんどのBIOSは、起動時にCD・DVDを立ち上げるキーを叩くか、システムが起動している間に、「F2、F12、Delete」キーなどを叩いてBIOSに入り、立ち上げドライブとして、CD・DVDを選択することになります。

Photo by Benjamin Clark.

新規作成したDBANのCD・DVDがドライブにあれば、システムが立ち上がり、数分でDBANが呼び出されます。スタートアップ画面で「Enter」キーをたたいて、消去したいドライブを選びましょう

DBANのデフォルトのデータ消去方式は「3回消去」ですが、ドライブで「M」キーをたたくと、DBANが実行するパス数が選択できます。Macユーザのように「7回消去」を実行したいなら、「DOD5520-22 M」を選択してください。グートマン(Gutmann)方式なら、35回消去を実行します。Mac同様、消去の回数が増えるほど処理に時間がかかります。セキュリティとスピードのバランスをかんがみると、「3回消去」もしくは「7回消去」がオススメです


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Mac OS:消去するMacとそのまま残すMacをFirewireで接続している場合、残す方のMacで「ディスクユーティリティ」を開きましょう。DVDやLion RecoveryをダウンロードしたUSBドライブで起動する場合は、画面トップのアプリケーションメニューにある「ディスクユーティリティ」にアクセスします。

「ディスクユーティリティ」を開いたら、消去したいドライブを選択し、右側にある「消去」タブをクリックします。さらに、「セキュリティオプション」をクリックし、「データをゼロ消去」「7 回消去」「35 回消去」のいずれかを選択します

デフォルト設定では、「データを消去しない」となっているはずです。「データをゼロ消去」は、ドライブ上のすべてのデータを「0」で上書きします。3つのオプションの中では、最もセキュリティ度が低いですが、そのぶん速く処理できます。「7 回消去」では、この作業を7回繰り返します。ドライブに保存していた情報を復元するのはかなり難しくなるので、スピードとセキュリティのバランスでは、最適な方法です。「35 回消去」は、処理に時間がかかりますが、最も安全な方法でしょう。


■寄付する

すべてのデータをバックアップし、3回消去、もしくは7回消去でドライブをキレイにしたら、あとは寄付先に運ぶだけです。寄付先では、コンピュータにOSをインストールして自由に使うことができます。

■おまけ:セキュリティ面で留意すべきこと

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今回は、ドライブは外さずに譲りたい、ということだったので、善意の人々に寄付するという前提で、以上のような消去方法を紹介しましたが、たとえ35回消去でドライブをキレイにしたとしても、時間とお金、専門の機器やエンジニアを使えば、データが復元できてしまうこともあります

Photo by Jon Ross.

大企業では、古いハードドライブからデータを消去するのに、業務用のデータ削除装置を使用し、ドライブが復元できないよう小さく切り刻んで、メタルシュレッダーにしています。一般ユーザは、このような装置はもっていないでしょうが、万一ドライブに残った自分のデータが第三者にわたることを心配するなら、ドライブは自分のもとに残しておき、分解して粉々にする、ドリルで穴を開ける、プラッターが壊れるまでハンマーで叩くといった方法で、ドライブを自分で壊すほうがいいかもしれません。なお、ドライブを壊すときは、怪我のないように十分注意し、目を保護するものを身につけましょう。また、壊した後は適切に廃棄してくださいね。

お役に立てば、幸いです。

ライフハッカーより愛をこめて

Alan Henry(原文/訳:松岡由希子)