iPad AirとiPad mini Retinaディスプレイモデルとで、どちらを購入するか迷うことは十分あり得ます。
iPad Airは、前モデルと比べて大幅に小型薄型化され、プロセッサは高速化されました。Retina iPad miniは、iPad miniで初めてRetinaディスプレイを搭載し、プロセッサは2世代分(A5からA7へ)一気にグレードアップしました。iPad AirとRetina iPad miniも、同じ解像度(2048×1536)のRetinaディスプレイを搭載し、同じプロセッサを搭載しています。両者の主な違いはディスプレイのサイズ(9.7インチと7.9インチ)だけです。
しかし、先日、紹介したレビューでは、Retina iPad miniのディスプレイが、サイズ以外にもiPad Airのディスプレイと異なることが指摘されていました。
この、iPad AirとRetina iPad miniのディスプレイの違いについて、AnandTechのAnand Lal Shimpi氏によるレビューでは、さらに踏み込んだテストおよび考察を行っています。
iPad Air and Retina iPad mini by AnandTech
AnandTechのレビューは非常に長く、ディスプレイに関する箇所だけでも結構なボリュームがあります。
以下、ディスプレイのレビュー部分を紹介しますが、全部目を通すのが面倒な方は、次の囲み部分だけでもお読みください。
Retina iPad miniは、初代iPad miniと同じカラーガンマを持っており、それはiPad Airよりも狭く、我々が通常求めるようなsRGB範囲(カバー率)よりも小さい。ここで最大の問題は、同じ価格帯にsRGBをカバーする他の小型タブレット(たとえば、Nexus7やKindle Fire HDX 8.9)が存在するということだ。
(CalMAN Display Performance - Gamut Average dE 2000:Lower is Better)
私は、ここに、色の再現性を重要視するフォトグラファー(カメラマン)向けにより適合するものとしてAppleが大きなiPadを位置づける理由があると考える。しかし、他の製品のほぼすべてでsRGBについてAppleが良いディスプレイを与えてきたことを特に考えれば、2つのiPadの間に存在するこのトレードオフは残念だ。
なお、Retina iPad miniのバーンイン(焼き付き、残像)問題について、Marco.orgが公開しているテスト(関連記事)を試してみたが、以下の計測で使ったRetina iPad miniには問題なかったことが報告されています。
ディスプレイパフォーマンスの計測と考察
AnandTechのレビューには、iPad Air、Retina iPad mini、iPad mini(第1世代)、iPad第4世代(iPad4)、Nexus7(2013)、NVIDIA Tegra Note7を対象にした、具体的なディスプレイパフォーマンスの計測結果とその考察とが示されています。
要点を先に書けば、テスト結果は、総じてiPad AirとiPad4が好成績です。しかし、Retina iPad miniの優れている部分もまた確認できます。
以下、各テストの結果を見ていきます。
なお、グラフ中に「Lower is Better」とあるものは数値の低いほど良い結果であり、反対に「Higher is Better」とあるものは数値が高いほど優秀であったことを示しています。
次のグラフは、各デバイスにおけるSaturations(彩度)のテスト結果です。
最も良い結果を計測したのは、iPad Airでした。僅差でiPad4が続き、以下、Nexus7(2013)、Tegra Note7、Retina iPad mini、iPad miniの順番です。Nexus7(2013)までのデバイスと、それ以降のデバイスでは大きな隔たりがあります。
(CalMAN Display Performance - Saturations Average dE 2000)
次の写真は、iPad Air、Retina iPad mini、iPad miniに同じ壁紙を設定し、横に並べて撮影しています。特に、左下の赤色の三角形模様に注意してほしいと書かれています。この違いは小さいが明らかであり、特に、iPad AirやRetina MacBook ProやiMacにのフルsRGB範囲(カバー率)に親しんでいるならば、そう思うはずだとしています。
(左から、iPad Air、Retina iPad mini、iPad mini)
一方、Retina iPad miniのディスプレイは、決して悪いことばかりでないことも、テストの結果、明らかになっています。
次に示す、ガンマ範囲、グレイスケール、ホワイトポイントについては、Retina iPad miniは非常に良い数値を示しています。
(CalMAN Display Performance - Gretag Macbeth Average dE 2000)
最後に、ディスプレイの明度(ブラックレベル/ホワイトレベル)、ディスプレイのコントラスト比です。
ここでRetina iPad miniは、ブラックレベルのディスプレイ明度において、iPad Airに匹敵する結果を示しています。
一方、ホワイトレベルでは、iPad miniとともに最下位です。
(Display Brightness - Black Level)
Nexus7(2013)の明度のホワイトレベルとコントラスト比が非常に高いという結果は興味深いです。Nexus7(2013)のディスプレイは、非常に明るく、メリハリがあり、見栄えの良い印象でした。その印象の理由が数値にも現れているようです。
追記:DisplayMateによる、Retina iPad mini、Kindle Fire HDX 7、Nexus 7(2013)の広範囲にわたるディスプレイ検証レポートが出ています。こちらも必見です。
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iPad Airの情報については[iPad Air]に、iPad mini Retinaディスプレイについては[iPad mini2]に、それぞれまとめてあります。
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