水声文庫<br> ソヴィエト科学の裏庭―イデオロギーをめぐる葛藤と共存

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水声文庫
ソヴィエト科学の裏庭―イデオロギーをめぐる葛藤と共存

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  • サイズ 46判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784801007086
  • NDC分類 402.38
  • Cコード C0022

内容説明

スターリンの時代の哲学者・科学者たちは、公定イデオロギーと権力に翻弄されるばかりであったのか。マルクス主義、遺伝学、量子力学、植林計画をめぐる論争を中心に、闘争する研究者たちの科学的探求の試みに光を当てる。

目次

ソヴィエト・マルクス主義哲学史の再解釈に向けて
1 イデオロギーの側から(ソヴィエトにおける「マルクス主義」公式化の始まり―一九二〇年‐一九三〇年代始めの哲学・科学論争;“メンシェヴィキ化する観念論”―アブラム・デボーリン;“走狗”の肖像―マルク・ミーチン;流浪する国際主義者―エルネスト・コーリマンにおける自然科学と哲学)
2 科学の側から(“愛国的・唯物論的物理学者”―ヴァシーリー・ノズドリョフとモスクワ国立大学物理学部の教員たち;量子力学の“唯物論的ペレストロイカ”―ヤーコヴ・テルレツキー;“異化”と“同化”―相対性理論とソヴィエト・マルクス主義の邂逅;生物界と自然環境を“作り変える”科学思想の理念と現実―ダーウィン、ヴェルナツキイ、スターリン、ルィセンコ)

著者等紹介

金山浩司[カナヤマコウジ]
1979年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、九州大学基幹教育院准教授。専攻、ソ連科学技術史、日本技術論論争史

藤岡毅[フジオカツヨシ]
1954年生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。工学修士。博士(比較文化)。現在、同志社大学講師。専攻、生物学史、ロシア・ソ連科学史

コルサコフ,セルゲイ・ニコラエヴィチ[コルサコフ,セルゲイニコラエヴィチ] [Корсаков,Сергей Николаевич]
1973年生まれ。モスクワ国立大学大学院修了。哲学博士。現在、ロシア科学アカデミー・哲学研究所主任研究員。ボリス・ゲッセン、イヴァン・ルポール、ヴラジーミル・アドラツキーらソ連のマルクス主義哲学者の業績の再検討を多く手がける

市川浩[イチカワヒロシ]
1957年生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科博士課程後期修了。博士(商学)。広島大学名誉教授。専攻、科学技術史

トミーリン,コンスタンチン・アレクサンドロヴィチ[トミーリン,コンスタンチンアレクサンドロヴィチ] [Томилин,Константин Александрович]
1962年生まれ。モスクワ工業物理専門学校卒業。現在、ロシア科学アカデミー・S.I.ヴァヴィーロフ名称自然科学史=技術史研究所上級研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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けっと

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本来、科学的な議論や解釈は政治的イデオロギーとは独立になされるはずだが、旧ソ連では科学者は科学の諸概念が政治的イデオロギーと矛盾しないことを表明する必要が度々あった。そのような必要がなぜあったのかを解明するため、様々な科学者・哲学者に着目し、彼らの人生や学問的業績、そしてイデオロギー闘争に関わっていく様子を丁寧に追っている。ソ連の学術的な伝統や制度についても垣間見える面白い本です。個人的には大学は教育、アカデミーは研究という役割の違いがあり、それによる所属員同士の軋轢があったという主張が興味深いです。2023/07/15

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