負ければ自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消える本拠地での9月24日の阪神戦だった。
七回に1点を奪って4-4の同点に追い付き、迎えた九回無死一塁。三上がゴメスに投じたスライダーが甘く入った。打球はあっという間に左翼席に吸い込まれる。決勝の2点本塁打。若き守護神が陥落した日、横浜DeNAは4-6で競り合いを落とし、ついに土俵を割った。
三上はこの日がちょうど60試合目の登板。疲弊は目に見えていた。「本来のスライダーではなくなっている」とは川村投手コーチ。8月までは1点台だった防御率は、9月だけで見れば8点台にまで落ちていた。
ただ、酷使されていたのは若手だけではない。他のブルペン陣の疑念もまた膨らんでいた。
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今季の横浜DeNAの「必勝リレー」は目まぐるしく変わった。ルーキー三上の抜てきで一時は安定したかと思いきや、セットアッパーの不在から二転三転した。
指揮官の期待に応えられる選手はなかなか見つからない。国吉は僅差の展開で送り出された途端に腕が振れなくなってしまう。「うちはそういう選手ばかりだから困っているんだよ」。川村投手コーチは嘆いたが、実は選手ばかりに責任があるわけではない。
「(起用される)打者の2人前に出番を告げられる。あり得ない」。ある投手は準備に猶予を与えられない起用法に不満を隠さない。
シーズン中に出番が告げられるのは2人前から3人前になったとはいうものの、その投手はこうも指摘する。「それでも準備は足りない。抑えられているのが不思議なぐらいだった」
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「酷使と言われれば、そう。でも、自分だって肘を、肩をすり減らして現役を続けてきた」と弁明する川村投手コーチ。ただ、ブルペンでは無理な継投をベンチから告げられるたびに篠原投手コーチが選手に頭を下げていたという。昨季はリリーフの起用をめぐり、中畑監督と幾度となく対立した友利前投手コーチ(現中日コーチ)はいない。
チームのために投げると前置きをしながらもリリーフ陣の一人は「こちらも生活がかかっている。このままだと壊れてしまう」と訴えた。
【神奈川新聞】