新人王筆頭候補の大谷翔平

驚異のスプリッター

 特に大谷のスプリッター(フォークボール)は、奪空振り率が55.8%と、先発投手の変化球の中では最も高い。ヒットにされたスプリッターはわずか2球だ。

 「98マイルのストレートに、打者がお手上げなスプリッターを投げられたら、日本だろうがメジャーだろうが、関係なく成功するよ。その上にストライクをとれるスライダーを持っている」と話すのは、筆者の元同僚で今は米野球専門雑誌ベースボール・アメリカで働くカイル・グレーザー記者。

 有望な若手選手の分析を担当するグレーザーは、シーズンが始まる前はいつか大谷がサイ・ヤング賞(リーグ最優秀投手)を争うような投手になると予想していた。

 「ケガを抜きにすれば、彼は過剰とも思えた期待に見合う逸材であることを証明してくれたよ」

 MLB公式サイトのデービッド・アドラー記者は、あえて大谷の数値で弱点を指摘するなら、フォーシーム(直球)の回転数が低いことだという。

 回転数が少ないとボールが重力に負けて沈みが大きくなるため、打者が「球の伸び」を感じなくなる。

 「でもあれだけの球速があれば、そこまで回転数が高い必要はないですよ。特にメジャー1年目で投球を大きく変える必要はありません」とアドラー氏。

 大谷のエンゼルス移籍が決まった直後に、日本ハムの栗山英樹監督にインタビューをした際、大谷は「投げる方はまだまだフォームをこれから固めなくてはいけない。持ってるものの半分も出てないような感じがする」と語っていた。

 一方、ナギー投手コーチは、大谷の投球技術は完成していると言う。

 「彼は非常に優れた技術を備えてこっちにやってきました。あとは適応するだけです。メジャーの打者やチームを研究したり、どのカウントでどんな球を投げるのかを決めたり。チームメートのこともよく知らないといけません。とくにキャッチャーとの関係は大切です」

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