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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Number_i「GOD_i」がビルボードジャパンソングチャートを制覇…注目は次週の動向

最新2月5日公開分(集計期間:1月27日~2月2日)のビルボードジャパンソングチャートは前週初登場で首位を獲得した米津玄師「Plazma」が5位に後退、Number_i「GOD_i」が首位初登場を果たしています。

本作は、メンバーの岸優太がプロデュースした新曲で1月27日にリリース。ダウンロード数は「GOAT」の初週ダウンロード64,321DLに次ぐ60,058DLで1位、動画とラジオも1位、ストリーミングは16位で本チャートを制した。また、本リリースの影響で「BON」が87位→86位、「INZM」が97位→91位に浮上している。

今回の結果を踏まえ、Number_iの代表曲(「GOAT」「BON」および「INZM」)と今作「GOD_i」とを比較してみます。

 

<Number_i 代表曲の初登場週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

 

 

今回紹介した4曲においては、獲得ポイントに占める各指標の割合が似ているといえます。ダウンロード数の多さに加えて、ラジオでも強いのが特長です。

2位はNumber_i「GOD_i」が初登場した。1月27日にデジタルシングルとしてリリースされた同曲。リリースと同時に開始されたオンエアは、東名阪エリア局における定期番組/コーナーといった帯枠を中心に大量に積み上げられ、調査対象となる54.8%のステーションでのオンエア獲得となった。

局地的な大量オンエアながら、多数のリクエストオンエアが確認されている点からはさすがの人気度、および厚いファンダム層の存在がうかがえる。

OAチャートでは「GOAT」が2位/OA対象局48.4%(記事はこちら)、「BON」は2位/58.1%(→こちら)、「INZM」は2位/51.6%(→こちら)であり、「GOD_i」も似た状況をたどっています。帯番組やコーナーといった定期枠主体のOAも共通しており、ラジオ局や番組側への歌手側の働きかけが作用したと考えられます。

(「GOAT」のOAチャートについては、集計期間が2023年12月25~27日および2024年1月4~7日の合算となっています。)

ラジオ指標はプランテックによるOAチャートを基に対象局の聴取可能人口等を踏まえて算出されますが、4曲はいずれもOAチャートでは2位だったのに対し指標化後は全曲1位を記録しています。また、近年ではこの指標にて男性アイドル/ダンスボーカルグループがデジタル初加算週やフィジカルリリース週に上位進出を果たすことが多く、今回もその傾向が表れています。

 

上記は"CHART insightからヒットを読む"カテゴリーのブログエントリー(→こちら)で掲載しているストリーミング表の最新版。主要サブスクサービスの集計期間は厳密には異なりますが(Apple Musicはビルボードジャパンソングチャートと同様に月曜集計開始の一方、Spotifyは前週金曜、LINE MUSICは同週水曜が集計開始日に設定)、Number_i「GOD_i」はサブスクサービス間の乖離が大きくはありません。

いわゆる推し活でも用いられるStationheadはApple MusicおよびSpotifyと連動していますが、LINE MUSICは対象外となっています。Stationheadにおけるファンダムの連帯、そして歌手側も積極的に活用していることがNumber_iの強さの一因ですが、それが反映されにくかったLINE MUSICでは今回特別企画が用意。そのことも「GOD_i」の同サービス100位以内エントリーに大きく貢献したと考えられます。

 

結果的に「GOD_i」はNumber_iにおいて4曲目となる1万4千ポイント超えを達成しています。ラジオでは多数のリクエストもみられること、また今年度最多の週間ダウンロード数や動画作成指標の首位獲得、加えてミュージックビデオのリリース日における解禁等からは、チャート初登場週におけるポイント最大化を歌手側も、そしてファンダムも意識していると捉えていいでしょう。実際、最新チャートに反映した形です。

 

 

さて、注目は次週の動向です。Number_iにおいては「INZM」が首位獲得の翌週にトップ10内から脱落しています。またラジオ指標は歌手側の施策の側面が強いことにより、翌週はその反動にて急落傾向にあります。この急落は、所有指標であるダウンロードでも同様です。

先述した"CHART insightからヒットを読む"カテゴリーのブログエントリー(→こちら)でも紹介しているように、真の社会的ヒット曲は初めてトップ10入りした後も安定する傾向にあります。昨年度以降のビルボードジャパンソングチャート首位曲一覧をみると、翌週のポイントが5割以上を記録した曲のほとんどが現在もヒットを続けていることが解ります。


ロングヒット曲は、作品は気になるが歌手のファンではないライト層から支持され続けます。他方、Number_iは過去曲にてSpotifyと他のサブスクサービスとで乖離が目立ち、『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 2024年12月31日放送)で披露した「GOAT」が1月8日公開分のビルボードジャパンソングチャート(三が日を集計期間に含む)で順位を下げており、ファンダムとライト層での乖離が他の歌手より大きいと捉えています。

 

2月6日早朝の段階で、Spotifyでは「GOD_i」が12位(2月4日付)の一方、LINE MUSICでは87位(2月5日付)、そしてApple Musicでは日付不明ながら100位以内にランクインしておらず、新曲においてもファンダムとライト層との乖離が生じています。次週のビルボードジャパンソングチャートにおける「GOD_i」の推移、Number_iがライト層をどれだけ取り込めるかを注視する必要があります。