スマートフォンやタブレット端末には製品寿命があり、発売から年数を重ねればどのような機種でも、中古価格は安価になってくる。
特にAndroid端末では顕著に現れるが、その中でも8年前に発売された端末ながら、未だに中古流通価格が1万円を超える商品が存在する。数量限定などの希少さもなく、普通に販売されていた機種だ。今回はそんな魅惑のタブレット「Xperia Z4 tablet」について少し考えてみよう。
- ソニーが出した最後のAndroidタブレット。Xperia Z4 tablet
- 中古販売は1万5000円!買取価格も6000円!8年前の機種とは思えない高値での取り引きに驚く
- 今、Xperia Z4 tabletは実際どうなの?
ソニーが出した最後のAndroidタブレット。Xperia Z4 tablet
まず「Xperia Z4 tablet」を簡単におさらいしよう。ソニー製の本機種は2015年に発売されたハイエンドタブレット端末。搭載SoCは当時のハイエンドSnapdragon 810、メモリは3GB、ストレージは32GBの構成。SDカードによる容量増設も可能。も
画面はWQHD解像度、10.1型の液晶パネルを採用。同社が得意とする「トルリミナスディスプレイ」を採用している。ステレオスピーカーや800万画素のカメラも備えている。シリーズの強みである防水防塵対応はもちろんのこと、10型のタブレットとしては当時世界最薄の6.1mm、世界最軽量の389g(Wi-Fiモデル」を達成している。
薄さはイヤホンジャックを見れば分かる。かなり薄い
初期搭載OSバージョンはAndroid 5.0、最終アップデートは7.0となっている。日本ではWi-Fiモデルの他、ドコモとau にてセルラーモデルが発売され、価格はWi-Fiモデルで7万6000円前後、セルラーモデルはおおむね9万3000円前後の設定。
さて、スペックをみると当時のハイエンド端末らしい仕上がり。今となっては見劣りするが、当時はあらゆる点で魅力的なものだった。
本体はブラックのほか、ホワイトも販売されていた
中古販売は1万5000円!買取価格も6000円!8年前の機種とは思えない高値での取り引きに驚く
そんなXperia Z4 tabletの中古売価を見てみよう。中古販売店のイオシスをチェックしてみると、なんと販売価格は中古でも1万5800円。8年前に発売され、サポートもとっくに終了したAndroid端末とは正直思えない高価な価格だ。
中古販売店の価格の高さにもびっくりだ
ここで同世代のスマートフォンの中古価格を見てみよう。同じ時期に発売されたXperia Z4の中古価格は2980円と、もはや3000円を切っている。これは同じ時期に発売された。 これはAQUOSやGalaxyでも同じことが言える。
同じシリーズのスマートフォンだと、このくらいの価格が妥当だ
それでは価格の落ちにくいiPhoneであれば、どうだろうか。当時の世代は iPhone 6Sとなるが、こちらも大容量モデルを除けば1万円以下で買えることも珍しくない。OSアップデートが終了した端末は一気に中古価格も下がってくる。
iPhoneと比べてもXperia Z4 Tabletは高価だ
さて、これでは少々不公平なので、タブレット端末でチェックしよう。タブレット端末としてみた場合、近いものは2014年発売の「iPad Air2」となる。こちらについては比較的高値で取引されているようだ。
iPadの場合はコンディションの他、本体容量などでも価格は変わってくる。それでも基本価格はXperia Z4 tabletと大きく変わらないので、iPadのリセールバリューの高さには驚くばかりだ。
一方でAndroidタブレットになると状況はかなり悲惨。同じ時期に販売されたタブレットの多くは中古でも5000円以下がザラであり、1万円以上で取引されているものはほぼ皆無。それだけでもXperia Z4 tabletは異質な存在なのだ。
同世代のd-tabはこのくらいの価格となる。
もちろん中古価格が高いということは買い取り価格も高い。大手買取店の中古相場はおおむね。5000円から6000円となっている。正直、限定品でもない8年前のAndroid端末にこれだけの買い取り価格がつくことは「異例」と言っていいレベル。
買取価格を見てみると、問題なく動作する状態であれば最低でも6000円の価格がつく。正直8年前の端末の買取価格とは思えないほど高価だ。
同世代に発売されたスマートフォン、「Xperia Z4」を見てみると、もはや買取価格がつかないのだ。つけてくれるところがあっても状態が良くて1000円といったところだ。
今、Xperia Z4 tabletは実際どうなの?
さて、Xperia Z4 tabletのスペックや使い勝手をいうなら、正直なところ、この世代の端末はもはや限界を有に超えている。8年前のハイエンドSoCといえ、この性能は今の2万円で売られているスマートフォン以下※のものとなる。これはAmazonの激安Fireタブレットよりも性能が低い。
※参考までにこの機種のベンチマークスコアは、Antutuベンチマーク Ver.9にて9〜10万点のスコアとなる。
そして OS バージョンも7.0と古いことから利用できる機能はかなり限られる。SNSやブラウジングなども、環境によっては最新機能が利用できず、機能に制限が出てくる。基本的なスペックの低さもあって、ストレスを感じる場面の方が多いと考える。
さすがにSnapdragon 810ではもう厳しい
ゲームも原神はちろん動かない。筆者が検証できる範囲だとミリシタのみ動かすことができた。この世代では、今となってはまともにアプリも動かないものも多く、正直なところ使い物にならないものが大半だ。
そのため、この機種の使い道はYouTubeなどの視聴、カーナビ、電子書籍閲覧、テレビ視聴(セルラー版)といったところが主なものとなる。もしくはSDカードにコンテンツを入れて利用する「メディアプレイヤー」としてのものだ。
実はこの機種、先月中古販売店のイオシスにてWi-Fiモデルがキーボード付きで中古1万5000円ほどで多く販売されている。8年前の中古Androidタブレットで、ここまでの高値で取引される機種はほとんどない
高値な理由はいくつか考えられるが、やはり今でも、この最薄最軽量クラスの端末がないこと。ソニーが出した最後のAndroidタブレット端末であること。あとは、SoCが64bit対応機なので、今でもアプリが最低限利用できることだ。
これらの点から、この機種自体がある意味「メモリアル価格」的なところもある。これはHTC最後のハイエンド「U12+」や日本国内ではLG最後の機種「V60 ThinQ」などでも、同等性能の機種の相場より高めの価格設定が見られる。
さて、性能的にも機能的にもXperia Z4 tabletを超えるものは多く出ている。ただ、この薄さと軽さ、防水性能を兼ね備えた端末は思い返しても出てこない。このような「替えが効かない」という理由からXperia Z4 tabletは今もなお中古価格が比較的高い状態で取引されているのだと考える。もし家の片隅や倉庫などで眠っているのであれば、是非チェックしてみてほしい。
次回はこのXperia Z4 tabletを「今使ってみて」どこまで利用できるのか。このようなところをより深くチェックしてみようと思う。