サラダに加えるパリパリとしたキュウリが注目を浴びることは稀だけれど、だからと言って、地味なキュウリを侮ってはいけない。地味な感じとは裏腹に、キュウリは栄養の宝庫であり、多くのメリットをもたらす野菜である。

特徴のない野菜に見えるかもしれないけれど、実は水分以上のものを補給してくれるすばらしい野菜なのだ。スナックにもなるキュウリは、秘かにビタミン類、ミネラル類、抗酸化物質、植物栄養素、電解質の宝庫で、そのほとんどは皮やタネの部分に凝縮されている。

ここでキュウリに纏わることを少し紹介する。キュウリは料理に使われる食品だけれど、厳密には果物だ。スイカやズッキーニ、カボチャなどと同じく、ウリ科に属している。他のスーパーフードほど広く宣伝されてはいないかもしれないけれど、古代からインドの伝統医学では定番として使われている。

地味なキュウリが健康にどんな効果をもたらすのかについて、興味がある? キュウリのメリットを深く知るために、栄養コーチの資格を持つフィットネス教育企業OriGymの理学療法士、クロエ・ツイストに話を聞いてみた。

キュウリのメリット:栄養価にまつわる12の事実

生でもピクルスでも、キュウリはもともとカロリーや炭水化物、ナトリウム、脂肪、コレステロール値が低く、どんな料理に加えてもいい。しかし、栄養的には非常に優れている。

「キュウリに含まれている栄養素を合わせると、水分補給、体重減、消化、胃腸の健康にメリットがあります」とツイスト。カロリーが低く、腸の健康や体重減などの効果があるということはダイエットにもおすすめできると言える。

「また、血圧の調節に役立ち、抗炎症作用や骨を強化する特性もあります」。

以下、キュウリが単にサラダのボリュームをアップさせる以上の食べ物であることを決定的に証明する、12の以下のメリットを読んでみて。


1:栄養価が高い

低カロリーだけれど、栄養素は豊富。特に、皮やタネに栄養が凝縮されている。300gのキュウリには次の栄養素が含まれている。

  • 45カロリー
  • 炭水化物11g
  • タンパク質2g
  • 繊維質2g
  • 1日あたりのビタミンK推奨摂取量の62%
  • 1日あたりのビタミンC推奨摂取量の14%
  • 1日あたりのカリウム推奨摂取量の13%
  • 1日あたりのマグネシウム推奨摂取量の10%
  • 1日あたりのマンガン推奨摂取量の12%

以上のすばらしい栄養素に加え、ビタミンC、マグネシウム、βカロチン、フラボノイド、リグナン、タンニン、トリテルペンなどの“抗酸化物質”と、リンや銅などのミネラルも含まれていると、ツイストは言う。キュウリを食べる際は栄養が凝縮されている皮やタネも一緒に食することをおすすめする。

2:潤いを補給

夏の暑い日に食べる冷たいキュウリのスライスほど、リフレッシュさせてくれるものはない。水分が多いだけでなく、カリウムなどの保湿特性を高める電解質も含まれている。

「キュウリには水分がたっぷり、正確には95%ほど含まれています。ですから、1回分約120gを食べるだけで、水をグラス1杯飲むのと同じくらい体に水分を補給してくれます」とツイスト。

また、カリウムやマグネシウム、リンなど保湿特性を高める重要な電解質も含まれている。

3:ククルビタシンが豊富

キュウリには、植物化合物の一種、ククルビタシンが豊富に含まれている。

「ククルビタシンはキュウリの苦味成分でキュウリの中ではもっともよく研究されている成分のひとつでもあります」とツイスト。

「もともとは草食動物に対抗する防衛装置ですが、炎症や微生物、人間の体内のガン性腫瘍とも闘う植物栄養素です」とも。

4:おやつに最適

水分量が多く、脂肪分はゼロのキュウリは「余分な体重を落とそうと思っている人に理想的なスナックです」とツイスト。

「体に水分を補給し、結果的に空腹感を満足させます」

適当なサイズにカットすれば携帯に便利な究極のヘルシースナックになる。特にフムスと合わせたら最高だ。また、食べ方のバリエーションも豊富であり、生でサラダに加えて食べることもできれば、漬けてピクルスとして食することや加熱して料理として食す方法もある。

5:消化を助ける

ほとんどの野菜と同様、キュウリは消化のプロセスを助ける。「キュウリに含まれる水溶性繊維のおかげでゆっくりと消化されます」とツイスト。

「十分に水分が補給されていると、腸の動きが規則正しくなり便秘を防ぐので、キュウリに含まれるたっぷりの水分が奏功するわけです」

「また、水溶性繊維は満腹感を持続させる役に立ち、コレステロール値や血糖値を下げることもわかっています」

どこをとってもいいことだらけだ。

6:胃腸の健康にいい

キュウリは胃腸の健康にいい。他の炭水化物と異なり、消化しやすいのだ。

低FODMAP(発酵性、オリゴ糖、二糖類、単糖類とポリオールの頭文字をとった言い方で、速く発酵しやすい炭水化物)であるキュウリは、他の栄養たっぷりの食品と一緒に食べると、胃腸の健康を促進します」とツイスト。

「キュウリに含まれるミネラル、特にマグネシウムは抗炎症特性があります」。

さらに胃腸を健康にする特性を高めたければ、自宅でピクルスにして発酵させよう。キュウリのピクルスには腸内細菌を増やす、プロバイオティクスが多く含まれている(※市販のピクルスはたいてい煮沸されているので、残念ながらその効果はない)。

7:血圧を下げる

驚くことに、キュウリには血圧を下げる可能性もある。実際、いくつかの研究では、キュウリは高血圧を下げると結論づけている。これは、カリウム分が多く含まれていることによるものだ。

「カリウムは、豊富なナトリウム分によってもたらされる水貯留を減らすので、血圧を調整することで知られる栄養素のひとつです。キュウリ1本分には、1日当たりの推奨摂取量の約13%のカリウムが含まれていますから、カリウムの優れた供給源です」とツイスト。

8:抗炎症作用がある

体の自然な免疫反応である炎症は、少しであればオマケになる。だが、慢性化すると、健康な細胞にダメージを与え、心臓病や特定のガンなど深刻な問題につながる。キュウリは、こうした危険なタイプの炎症を緩和する。

「キュウリの抗炎症作用は、ほとんどがキュウリに含まれる植物性栄養素のおかげです。フラボノイドやトリテルペンは炎症の原因となる酸化ストレスに効果的であることが知られています」

9:骨を強化する

骨の健康はキュウリに頼ろう。

「カルシウムと一緒に摂ると骨を強くする特性のあるビタミンK が、1日の推奨摂取量の約19%含まれています」とツイスト。

「また、体内で、健康的な骨の成長に重要な役割を果たすコラーゲンの生成を助けるビタミンCの1日の推奨摂取量の約4%も含まれています」

10:視力を向上させる

視力を保つには、ニンジンの代わりにキュウリをかじろう。「βカロチンが肝臓でビタミンAに変換され、それが、目が光にさらされた時に起こる酸化ストレスを低減して周辺視野と夜の視力の両方を改善する可能性があります。フラボノイドやトリテルペンとともに、炎症を引き起こす酸化ストレスと闘います」とツイスト。

11:脳の健康を向上させる

あまり研究されていないキュウリのメリットのひとつが、脳の健康だ。

キュウリにはフィセチンと呼ばれるフラボノイドが豊富で、神経細胞を保護し、記憶力を向上させ、アルツハイマーのリスクを低減する効果があることが研究でわかっている。

これが極めつけかも? ウィスコンシン大学によるネズミを使った実験の考察では、有望だと結論づけている。

12:血糖値を調節する

初期の動物実験や試験管内の研究では、キュウリは糖尿病に関連した問題を緩和するかもしれないことが示唆されている。メトロポリタナ自治大学のネズミを使った研究では、キュウリには血糖値を下げ、調節する効果があることがわかっている。

試験管内研究では、酸化ストレスを低減し、糖尿病に関連した合併症を防ぐのに効果がある可能性があることもわかっている。フラボノイドやトリテルペンなど、フェノール成分による効果だと考えられる。

さあ、これ以上の理由が必要? 早速買い物に出かけてキュウリを買ってこよう。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Mitsuko Kanno From NetDoctor UK