加熱するAI開発レース。勝者はユーザー?
GoogleのAIツール「Bard」が大規模アップデートされ、かなり便利そうな新機能がいくつか備わりました。アップデートの概要をご紹介します。
Googleレンズで画像認識

Bardとのやり取りを、画像からスタートできるようになりました。
「Google レンズ」を使っていて、写っているものに関する詳しい情報やその説明文を求めるとき、Bardに分析を頼めます。たとえば花や建物をGoogle レンズで撮影して、Bardと掘り下げるといった使い方です。
また、レンズを使っていないときのやり取りにも画像が入り込むようになりました。動物について聞いてみたら画像付きの説明が返ってくる、みたいなイメージになります。
この2つの機能はもともと英語圏では使えていて、今回のアプデで日本語にも対応した形です。
やり取りを丸ごとシェア
Bardとのやり取りを公開リンクで共有できるようになりました。たとえば何かのアイデアをBardと練り上げたあと、そのやり取りをそのまま誰かに共有して続きを練ってもらう、なんてことも可能です。
便利なプロンプトとかもリンクで渡した方が早いですからね。ChatGPTでも同等の機能たまに使いますが、AIにまとめてもらう→手動でコピペの手間が省けるのは便利です。
返答のカスタマイズ

Bardからの回答がイメージと違うとき、そのトーンやスタイルを好みに合わせてカスタマイズできるようになりました。5つのオプション(短くする、長くする、シンプル、カジュアル、専門的な表現にする)から選べます。狙った文章を生成させたいときに重宝しそうです。
これも本アプデで日本語に対応した機能。
回答をネットと照らし合わせ
Bardの回答の裏付けが心配なときに使いたいのが「Googleで検索」という機能です。回答が主張している事へのネット上の賛否や、それに関連するネット上の情報をワンクリックで確認できます。また、強調表示された語句もクリックできるようになっていて、そういった特定箇所のみのチェックも可能です。
ネットとの照らし合わせがそんな楽に済ませられるんだったら、リサーチ作業はしばらくBardでやってみようかな、と思わせます。
待ってた、パーソナルなAI(英語)
個人的にかなり胸熱なのが「Bard Extensions」です。
これを使えるようになると、GmailやGoogleドキュメント、Googleドライブなど、自分の情報の宝庫からもデータを引っ張ってこれるようになります。たとえば旅行計画を立てるとき、Gmailから同行人の都合の良い日時をゲットしてもらい、それに合わせてフライトやホテルの情報をリアルタイムで調べてね、とBardに頼めるわけです。
ほかにも、ドキュメントで作った旅程を基にGoogle マップでルートを出してもらったり、旅先でのオススメをまとめたYouTube動画を探すよう求めることもできます。
ただしこのExtensions機能はいま英語のみの対応なので、いち早い日本語対応に期待したいです(英語でなら日本でも使えると聞きました)。
スピード感
ChatGPT、Claude、Bing、その他LLMやAIツールを使ってみていますが、GoogleのBardは応答性がいいと感じています。なんか早いんですよね。新機能はこの心地よいスピード感のまま使えるみたいなので、これは試しがいがあります。
AI開発レース全体を俯瞰すると、ChatGPTはサードパーティーの拡張機能をいち早く出していて、MetaのLlama2はコミュニティー主導の機能付与がとてもアクティブに繰り広げられています。それらに対して、Googleは自社サービスとの連携を優先したのは興味深い展開です。
Googleの見出した活路は「人気のサービスを軸にAIを展開する」ことなのかもしれません。無料だしスピーディーだし、Gmail・検索・YouTube・マップと連携させられちゃう。もしこれからフォト・Chrome・カレンダーにも対応して、手元のAndroidスマホでパッと使えるなるのだとしたら、確かに強い。
これだからAI開発レースの加速からは目が離せないですね。現状だと「便利なAIが増えたなぁ!」というメリットの面が強いと思います。そうあり続けることがギズモードAI Parkの願いです。
Source/Images: Google