ATEM Miniをあやつる先生方、かっちょいい。
ATEM Miniシリーズはライブ配信に使用するビデオスイッチャーで、もともとプロやライブ配信者向けの機材です。それがコロナの影響で教育の現場にも導入され始めてるんですって。これを受けて先日、Black Magic Designは教育者向けのATEM Miniセミナーを開催。ATEM Miniを活用している教育現場の先生方が登壇し、授業での活用事例を紹介しました。
ギズモードでもATEM Mini Proをライブ配信に使っているのですが、先生方の使いっぷりが遥かに高度でビックリしちゃったんですよ...。
オンライン授業「ATEM Miniしかあり得なかった」
ATEM Miniは接続された最大4つのHDMI入力を束ね、それをUSBケーブル一本でパソコンに接続すると1つのWebカメラとして認識させることができます。パソコンに入力する映像は本体のボタンで自由に切り替えられますし、ピクチャーインピクチャ(テレビのワイプみたいなやつ)で2つの映像を一度に表示することもできます。
![20200709_2204-01_h720](https://media.loom-app.com/gizmodo/dist/images/2020/07/09/20200709_2204-01_h720.png?w=640)
郁文館グローバル高等学校で数学を教える田中 善将さんはこの4つの入力をフルに活用。カメラ、iPhone、iPad2台の映像をATEM Miniのボタンで切り替えながら授業をしているそうです。
カメラで自分の顔を写し、一つのiPadで教材のスライドを表示、もう一つのiPadをホワイトボード代わりに。iPadを操作している時は顔が下を向いてしまうので、その時はiPhoneで下から自分を撮るんですって。
スライドを見せている時も先生の顔がピクチャインピクチャで常に映っています。これは子供の集中を切らさないため。静止画のスライドと音声だけだと子供はすぐ別のことを考えちゃうんですって。大人の僕でもその気持ち、わかる。
授業はテンポが命です。教材や自分の映像を切り替えたり、動画教材をスムーズに流したりしながらテンポよく授業をするには、ATEM Miniしかあり得なかったんです
「授業で教師の接続が切れることはあってはならないんです」
![20200709_gizmodo-01_h720](https://media.loom-app.com/gizmodo/dist/images/2020/07/09/20200709_gizmodo-01_h720.png?w=640)
名古屋商科大学(NUCB)では、PC2台を使ってオンライン授業をしているんだとか。
PC Aには先生を映すカメラ(USBでWEBカメラ化できるミラーレスカメラなど)を接続。PC BにはATEM Miniを使って教材やiPadのホワイトボードの映像を束ねて接続しています。
![20200709_2715-01_h720](https://media.loom-app.com/gizmodo/dist/images/2020/07/09/20200709_2715-01_h720.png?w=640)
目からウロコだったのが、その2台のパソコンに別々のZoomアカウントでログインしていたこと。生徒から見ると、Zoomの参加者一覧に先生のアカウントが2つあることになります。パソコンの負荷を分散させ、最悪どちらかのPCがトラブルで配信できなくなっても「先生がいなくなる」ことがないように配慮しているんだとか。
オンライン授業で教師の接続が切れることはあってはならないんです。(名古屋商科大学 栗本 博行さん)
テレビの生放送くらいの気持ちで授業をしなくてはいけないんですね。ちなみにこの大学では何十台ものATEM Miniを導入し、4/1からほとんどの授業をオンラインで行なっているそうです。
「最強のライブ配信者=学校の先生」な時代くるかも
もし仮に全ての授業がオンラインになったら、ライブ配信が一番うまい職業は「教師」になるかも。毎日何コマも、一人で喋りながら機材を操作するわけですからね。しかもインターネット越しに授業をするには生徒を飽きさせない工夫が必要。オフラインの授業よりもさらに先生のプレゼンスキルが求められていく、つまり先生の話がどんどんおもしろくなっていくのかもしれません。ATEM MiniやiPadがその一助になっているって考えると、ガジェットってやっぱり偉大だなぁ。