【ジョブズ半生記 Vol.4】ついに!初代Macが発売されました。

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【ジョブズ半生記 Vol.4】ついに!初代Macが発売されました。

1981年(其の三)

こちら、ジョブズがIBMに「こんにちは」してる写真。

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1982年

ジョブズはビル・ゲイツとマイクロソフトに、アップルのため以外には、マウスを使用するソフトウェアに取り組まないと約束しましたが、実際のところは、競合するオペレーティング・システムの開発が全く許されていないわけでは無かったので、ゲイツがWindowsを開発している頃、Macソフトウェアをマイクロソフトは開発中でした。

この時、Macチームが使用していたビルは、午後5時30分にセキュリティーシステムが稼働するようになっていたんですけど、これって夕食後に仕事に戻る傾向があったプログラマー達にとっては早すぎる時間でした。そんな日々が続いた結果、ジョブズは「誰かそのセキュリティーシステムを破壊してくれ!」 と叫んだそうです。 すると、アンディ・ハーツフェルドがアラームにドライバーを突っ込みアラームを破壊...。その後、警備員が現れましたがジョブズは、ちゃんと破壊に対する全ての責任をとったそうです。 もちろん、大ごとにはならなかったんですけどね。

そんな風に仕事環境にイライラしつつ働いていたジョブズですが、この頃歌手のジョーン・バエズとデートしていました。ちなみに、バエズの元カレはジョブズが大好きなボブ・ディラン。同じ人に魅力を感じる2人の感性は相性が良かっのかも!? そして、この年、ジョブズはニューヨークにセントラルパークが見渡せるサン・レモアパートを購入し、建築家のI.M.ペイにリフォームさせます。でも、ジョブズがその部屋に入居することは無く、最終的には何十年も経ってからU2のボノに売り渡したそうです。

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1983年

Macintoshプロジェクトのキャプテンであるジョブズは、彼らの使っていた建物の屋上にドクロの海賊旗を掲げさせました。

この年、タイム誌のマイケル・モーリッツ(Google委員会の一員だった投資家)が、ジョブズのダークサイドを人々に暴露しはじめました。彼は、ウォズの「Apple IIの設計に、彼はたいして貢献していなかった」という主張や、匿名情報源からの中傷を沢山引用するような記事を書き続けました。 それを受け、ジョブズは彼の新年のプランを中止し、記事について考えたそうです。バッシングされるのはヘコみますからね...。

その頃、ジョブズが嫌なやつだからこんな事するんだ! と人々から思われていたエピソードを一つご紹介しましょう。 人々はジョブズがオフィスにいるか? いないか?すぐに見分ける事ができたんです。なぜかというと、会社にいる時、ジョブズは青いメルセデスをビルの前にある身体の不自由な人用の駐車場に駐車していたから。 そんなジョブズに対して、人々は、彼が嫌なやつだからんな事をするんだと思っていたそうです。でも、デビッド・ブネル曰く、不満を抱いているLisaかApple IIの従業員が鍵で車に傷をつけるかもしれないから、それを回避するために、そこに駐車していたんだとか。いろんな理由があるかもしれませんが、こういう行動とバッシング記事の相乗効果はすごいですから、気をつけないとですよね...。

ジョブズは「海軍にはいるより、海賊であれ」という精神で、Lisa・プロジェクトから多くのスタッフを引き抜き、技術を盗みました。 特にバレル・スミスがLisaと同じプロセッサMoto68000をMacに入れる方法をあみだした後からは激しくなったそうです。また、ジョブズは、Lisaプロジェクトのコンピューターとのコード互換性を拒否しました。 最終的に、Lisaの製品は何年も後にオリジナルのプロジェクト費の5倍になる1万ドルで販売しましたが、IBMのマシンは3000ドルですから、競争に勝つことは難しいことでした。

その後、ジョブズは、ジョン・スカリーをペプシからヘッドハンティングし、アップルのCEOに就任させました。口説き文句は有名ですが、「このまま一生砂糖水を売りつづけたい? それとも世界を変えたい?」でした。 ジョブズ以外の人達は、スカリーの科学技術の知識不足が難点だと考えていたふしもあったそうですが、ジョブズは、この事が彼を良きボスになるよう導く良いチャンスだと捕えていたそうです。 そして、ジョブズとスカリーは強力なパートナーシップでアップルの経営を押し進めていきました。

一方、ゲイツはWindowsを公開し、1984年の終わりまでにIBMのマシンの90%以上がWindowsを走らせるようになるだろうと主張。

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1984年

この年、ジョブズは広告代理店Chiat/Dayのクリエイティブ・ディレクタリー・クロウに出会います。そして、ジョブズはリドリー・スコットが監督した有名なくスーパーボウルの伝説のCM「1984」を世に送り出しました。

当時、ジョブズらはそのCMが気に入っていなかったうえに、スーパーボウル放送中の広告スペースは、あまりにコストがかかりすぎるので、そのCM枠を売り戻ししようとしましたが、売れませんでした。 そしてCMを流すことに。 そのCMは、オーウェルの小説みたいな反理想郷の世界をIBMが運営していることをほのめかし、新しく来るMacがその世界を打ち砕くといったかんじのものでした。 結果的に、スーパーボウルの放送中にこのCMが流れると、何これ?と人々の関心を集め、賞まで受賞しました。 この事についてジョブズは、「運は自然力です。」と語ったそうです。

そして1月24日、ついに初代Macが発売されました! ジョブズは水玉模様の蝶ネクタイをし、ボブディランのThe Times They Are A-Changinの歌詞を暗唱してからMacをお披露目しました後、ジョブズは音声合成プログラムを使って、「こんにちは。私はマッキントッシュです」と挨拶し、最後には、「私の父親同然の男性を紹介することを誇りに思います。スティーブ・ジョブズ」という言葉で締めくくりました。

ただ、Apple IIの後継機種となるべくApple IIIは、Apple IIとの互換性はまったくなく、サード・パーティのソフトもほとんど無かったので、Apple IIIの活性化に全力を注いではみたものの、思うような実績が残すことが出来なかったので、廃止となりました。 ジョブズは、Apple IIIとサヨナラした同じ日にApple IIのコンパクトバージョンとなるApple IIcを発表しました。 ちなみに、サンフランシスコでの式典「Apple II Forever」というイベントはマグニチュード6.2の地震で中断されたそうです。

1984年(其の二)

最初、Macの売れ行きはいい感じでしたが、次第に低迷してしまいました。理由は競争力のある機能性が不足していたから。 プログラマー達は、絶え間なく、プログラムのためにディスクを交換したり、ファイルを保存しなくてはいけない事を「ディスク交換五輪」なんて冗談にしたりしていました。

一方、マイクロソフトのペイント、ワード、ライトの3つのプログラムは、使い勝手のいい、まれなアプリケーションでした。

人々は自分たちが何を欲しがっているのか? 市場調査をしないジョブズに不満を持ち始めました。 そんな中、ジョブズは再びLisaチームでの影響力を手に入れ、新たに結成されたMac/Lisaチームで、自分にもチームの皆にもストイックに開発を進めていました。

その頃、ジョブズのMac開発チームは、自分たちが「1週間あたり90時間働き、それを愛している」というモットーのうえに、奴隷のように身を粉にして働いているのに、Lisaチームのスタッフや下級技術者と比べ、賃金が極めて低いことに気づいたんです。彼らはジョブズに騙されたと感じていましたが、士気が下がるという問題はボーナスで軽減することができたそうです。

この年、ジョブズは5万ドルかけて新しいCMを打つことにしました。ルーズヴェルト大統領と戦争をテーマにして「1944」のパロディ「1944」を流し、IBMコンピュータに戦争をしかけました。 ジョブズはフォーチュン誌で、「IBMは私たちを地球から滅亡させたがっている」と語ったりもしていたそうです。

ちなみに、この頃のジョブズの恋人はマヤ・リンというアーティストでした。そして、この年ジョブズは、あのジャックリング邸を購入したんです。1926年に、銅鉱山の大物実業家ダニエル・ジャックリングのために、有名な建築家ジョージ・ワシントン・スミスによって建てられたジャックリング邸です。購入したものの、ジョブズが住んだのは10年ほどだったそうです。ジョブズって彼女ができるたびに高い家を買うん傾向があるのかも!?

色んな意味でギラギラしたジョブズの生き方がどうなっていくのか? ジョブズの半生記は、まだまだ続きます。

- Brian Lam(原文/junjun )

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