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『ナツノカナタ』作者の新作短編ADV『午前五時にピアノを弾く』先行プレイレポート―静かで美しい世界観は、プレイヤーに最高の読後感を与えてくれる

奇妙な霧の出る町の朝、少女は不思議な散歩に出る……小説を読んでいるようなプレイ感覚と爽やかな読後感は、唯一無二の魅力です。

連載・特集 プレイレポート
『ナツノカナタ』作者の新作短編ADV『午前五時にピアノを弾く』先行プレイレポート―静かで美しい世界観は、プレイヤーに最高の読後感を与えてくれる
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個人ゲームクリエイターのKazuhide Oka氏は、短編テキストアドベンチャーゲームゲーム『午前五時にピアノを弾く』をPC(Steam)向けに2023年5月2日から無料配信開始予定です。

本作は、高評価アドベンチャー『ナツノカナタ』を手がけた同氏による最新作。プレイヤーは、不思議な霧の中を散歩する主人公の少女が、さまざまな不思議や人物に出会う体験を通して、物語を読み進めていく作品です。散歩中は4つのパラメーターを管理しながら散歩を完了させていくことで、ストーリーが進行していきます。

本稿では『午前五時にピアノを弾く』の先行プレイレポートをお届け。なお、今回のプレイはリリース前バージョン(ver0.5.4)を使用しています。5月2日以降に配信されるバージョンとは一部内容が異なる点があることを、予めご了承ください。

また、Game*SparkではKazuhide Oka氏へのインタビュー記事も掲載中です。『ナツノカナタ』『午前五時にピアノを弾く』について伺った独占インタビューの様子は、以下の記事からご覧ください。


不思議な霧の出る午前五時、彼女は散歩に出かける

本作の舞台となるのは、午前五時頃になると霧が発生する町。霧の濃い日に外に出かけて帰ってこなくなる人もいる――そんな噂もあり、この町には霧の朝にわざわざ外へ出かける人はあまりいません。しかし、主人公の少女はなぜかこの霧が好きで、霧の濃い朝には必ず散歩に出かけています。

少女は山の中の家に家族と住んでいて、もうすぐ引っ越すことが決まっています。幼い頃から住んでいるこの家や周囲の森、聞こえてくる鳥や虫の声など、少女にとってこの風景は霧と同じくらい好きな場所。その好きな風景からもうすぐ自分がいなくなること、この思い出を忘れたくないこと、さまざまな思いをもちながら、彼女は朝になると霧の中へと歩いていくのです。

霧の中の散歩は午前五時から始まり、午前八時まで時間が過ぎることでその日のエピソードが語られるという形式。物語は少女と、霧の中で出会った「記憶を失った男性」を中心に進んでいきます。

謎の男性との出会いは何なのか。なぜ自分はそんなにこの霧が好きなのか。少女は自分でもわからないままに、何かに惹かれるかのように、今日も霧の中を歩いていくのです。果たして、少女の散歩の先には何が待ち受けているのでしょうか。

奇妙な風景への行動を選択!

少女が散歩する霧の中では、さまざまな不思議な光景が待ち受けています。プレイヤーはそこで提示される2つの選択肢から少女の行動を選び、「眠気」「渇き」「狂気」「充電」の4つのパラメーターが上限に達しないようにしなければなりません。また、時間は選択肢によって分単位で進んでいきます。

例えば“目の前に紅茶の温泉がある”というという風景では「足を浸す(時間+15、眠気+3)」「迂回する(狂気+2)」という選択肢が表示されます、片方は眠気が大きく伸びるものの時間が経過し、片方は時間が経過しない代わりにパラメーター変動が小さいなど、直接変動する結果を見ながら先に進んでいきます。

また、散歩の途中で「ミントタブレット」「ミネラルウォーター」「サイコロ」などのさまざまなアイテムを拾うことも。アイテムはパラメーターの増減に関わるものが多く、上手に使えば散歩中の助けとして活躍してくれます。アイテムは3つまで持つことができ、4つ以上拾うと何かを捨てなくてはなりません。

このサバイバル要素は決して難しすぎることはなく、なるべくパラメーターを平均的に増やしながら時間を進めることを意識すれば、比較的クリアしやすいでしょう。仮にゲームオーバーになってもすぐにその日の散歩から再開できますし、道中で拾ったアイテムは引き継ぎ可能です。極端な話、強力な効果を持つアイテムを厳選しながら何度もチャレンジすれば、必ずその日を無事に終えられるでしょう。

散歩パートでは霧の中で出会う、その奇妙な風景の数々にもぜひ注目してください。何もかも現実離れしているような存在に対して、少女は驚くべき選択をすることもあり、その光景を想像するだけでも、なんとも不思議な楽しさを覚えます。

美しい世界を包み込むBGMにも注目!

ゲームの進行は基本的に「霧の中の散歩で奇妙なものと出会い、やがて記憶のない男性との物語が語られ、そしてまた少女にとっての新たな一日が始まる」という構成です。それは非常に静謐で、はじめはどこか遠いような雰囲気で物語が進んでいきますが、その雰囲気はゲームを進めていくことで、プレイヤーの理解や解釈へと繋がっていくのです。

前作『ナツノカナタ』のように、小説を読んでいるようなプレイ感覚と爽やかな読後感は健在。筆者が個人的に本作で好きなのが、一日のエピソードが完結した際に一度タイトル画面に戻されるというシステムでした。その“ゲームプレイがリセットされるような感覚”が作風とよくマッチしていて、区切りの良いところまで読んで閉じた本をもう一度開いたような感覚を覚えます。

Game*Sparkでは、開発者のKazuhide Oka氏へのインタビューを行い、『ナツノカナタ』『午前五時にピアノを弾く』での魅力的な世界観を生み出している秘密や作品へのこだわりなどを伺いました。さらなる次回作の情報なども明らかになっていますので、ぜひともチェックしてみてください。

インタビューの中で、Kazuhide Oka氏が『午前五時にピアノを弾く』のおすすめポイントとして紹介していた、奏乃さんの奏でるBGMは絶品です。世界観にマッチした雰囲気なだけでなく「文章を読み進める」ことにピッタリの、穏やかで美しい曲は必聴です。


どこか奇妙な世界の雰囲気と“忘れてしまうこと”を恐れる主人公の思い、不思議な出会いが織り成す物語は、キャラクターと美しいBGMによって魅力的に輝き、ひとつの世界観を作り出しています。

“午前五時”という早朝ならではの「どこか静かで、空気が張っているような雰囲気」の表現は非常に秀逸。物語を読み進めていくことで少女の心情への理解や、タイトルの「ピアノ」の意味など、プレイヤー側の作品そのものへの解像度が上がっていくのは、前作『ナツノカナタ』と同様に良質の小説を楽しむような読後感を楽しめます。エピソードが終わる毎の心地よい余韻も魅力的です。

短編アドベンチャーということもあって、プレイ時間的にも気軽に遊びやすいボリューム。『ナツノカナタ』ファンはもちろん、公式サイトやSteamストアページでその雰囲気が気になった人は、ぜひともプレイしてみてほしい作品です。



奇妙な霧の中での出会いは、どこか寂しくて、それでいて美しい。ゆっくりと世界観に浸って遊んで欲しいスパ!


  • タイトル:『午前五時にピアノを弾く』

  • 対応機種:PC(Steam

  • 記事におけるプレイ機種:PC(Steam)

  • 発売日:2023年5月2日

価格:無料


《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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