私がアウトラインプロセッサと出会ったのは、X68000の頃だ。
X68000向けのワープロソフト「hyperword」の機能の一つに「アイディアプロセッサ」というものがあった。アイディアを管理する手法などというものがあるのか!?とかなりワクワクした覚えがある。聞くところによるとアイディアプロセッサはアメリカの方じゃメジャーな機能だというじゃないか、いったいそれはどんなものなのだろう。
で、実際に hyperword を買いはしなかったけれども触れる機会はあったのでそのアイディアプロセッサというものを見ることができた。よするにここでいうアイディアプロセッサがアウトラインプロセッサのことだったのだよね。
セクション、サブセクション(章、節)を記述してそれを入れ替えて文章全体の構成を考えるといった機能の事で。当時はメモリが貧弱だったのでセクションの中に文章本体は持てなかったと思う。
それをみて「ああ、なるほど」と思った。当時ワープロブームではあったが、ワープロの主流は日本語を書いてそれを清書として出力すること、だからアイディアプロセッサは受け入れられずに消えていった。
私がすんなりと理解できたのは理系の学生だったからだと思う。当時大学のレポートは LaTeX で書いていたから、section, subsection といった見出し単位の文章作成に慣れていたし、理系の論文はそういったセクションが定型であることが多いのを知っていた。なので、セクションの構成から文章を作っていくという手順にまったく抵抗が無かったのである。
そんなこんなでアウトラインプロセッサは今ではご愛用のツールなのでした。
以前もアウトラインプロセッサの記事を書いた事があったが、結局未だに「Kacisノート」が俺的お気に入りとして君臨し続けている。開発元は無くなったがクロスランゲージという会社が販売権を取得したらしく、今も正規で売られている。ただし、バージョンは変更がないようで、Mac版にIntelバイナリがないあたりとか残念である。
「Kacisノート」にも欠点がいろいろあったりする。文章を書くのは得意だけれども、整形は不得意だというか効率的に行えないあたりが一番大きい。それとやっぱり今後のサポートか。
IntelMac には「OmniOutliner」というMac界ではメジャーなアウトラインプロセッサのバンドル版が付いてきていたりする。それ自体は結構すごくて良いことなのだけれども、どうも馴染めなかった。セクション管理はともかく、本文をばりばりと小気味よく書けないところにちょいと抵抗がある。
別なアウトラインプロセッサに乗り換えるとしたらどれがよいか、というのを最近考えている。
すると意外な事に MS-WORD が良くできている事に気がついてみたり。アウトラインプロセッサをメモ整理として使う向きには WORD は不向きだけれども、文章をもりもり書くのが目的とした場合のアウトラインプロセッサとしては悪くはない。
このあたり OpenOffice Write はできなくはないけどアウトラインプロセッサとは呼べないし、iWork pages などはふざけるな、といったくらいのおもちゃしか付いていない。
うーん、ワードかー、と悩んでいたら意外な伏兵が登場する。一太郎2007である。
一太郎には2004からアウトラインモードなるものが追加されたのだけれども、当時は使おうという気にならないものであった。2007になると幾分こなれて、文章書き前提としたアウトラインプロセッサとして使える様になっている。
また、一太郎2007における一番の新機能としてエディタモードが付いた事が挙げられる。これとアウトラインプロセッサを行き来するとかなり小気味よく文章を書きまくれるのだ。
基本的に印刷資料とか罫線による表組み資料などを作る場面がない人なので、文章整形としてのワープロには全く興味がなくこれまで使う場面がなかったのです。組み版とか凝ったレイアウトが必要なときはドローツールを使うので、ワープロは私にとっては出番なしだったのよね。
一太郎2007では考えるツール書くツールという部分を追求してきて、軽快に書く道具としていけてきてるんじゃないかなあと、使用対象として検討中。
まあ、エディタモードはまだ惜しい部分が散見されるけれども。
まあ、取りあえずアウトライン管理ができてばりばり文章が書けるとなると Emacs でいいんじゃね?という話もあったりするけれど。
アイディアプロセッサ的には、アウトラインプロセッサで考える事も多いけれども、直線的構成が階層化したアウトラインプロセッサではゼロからアイディアをひねり出すのにパワーを必要とする。ある程度構想が固まったものを整理するのには良いのだけれども、発想の道具としては使えないんだよね。
なので、そういった発想ひねりだしの際にはマインドマップを用いることにしている。
マインドマップはトニー・ブザンの本を読んだが、前半半分が「よりよいノートをとるにはどうすればよいか」という問題提起で、「それを解決するためにマインドマップを考案した」とちょろっと書いてあるだけで、あと後半は全部マインドマップの実例集だった。要するにトニー・ブザンはマインドマップの書き方を定義し強要することで発想のじゃまをしたくはないんだよね。だから、手法は重要ではない。
話がそれた。
マインドマップも階層構造を持っているのでアウトラインプロセッサ慣れしていると非常に入りやすい。それでいて、どんどん枝葉を追加するための書き方なので「項目洗い出し」には最適なのである。
マインドマップでこれでもか、これでもかと項目を洗い出し、そのあとアウトラインプロセッサで大筋を整理しながらシナリオを考えていくという連携はなかなかいけているのですよ。
ちなみにマインドマップで使っているアプリは FreeMind と JudeProfessional。JudeはUMLツールだけれどもね。どっちも使い勝手は良い。おまけに両方ともJAVAで作られているからWindowsとMacのどちらでも同じアプリが動作するあたりが良い。
ちなみにKJ法は苦手なんだよね。すべてのアイテムが同じ重みで存在しているあたりが馴染めない。
階層による管理と、派生項目による広がりが、私にとっての思考形態なようで。
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