先日、日経新聞電子版に退職代行サービスについての記事が掲載されていた。
退職代行サービスは、退職希望者に代わり会社に退職の意思を伝えるサービスで、利用者の8割は20~30代だという。勤続年数別では「1カ月〜6カ月」が38.7%で最も多く、「1カ月未満」は24.5%あり、入社後1年以内が全体の75%を占めている。
入社したての新人が退職代行を使って超早期離職するケースも増えていて、4月から5月にかけて採用過程で伝えられていた勤務条件や社風と実際の勤務実態が違うことにショックを受けた新人が多いらしい。
そして6月以降は上司によるハラスメントなど職場の人間関係による理由が増えるという。上司からパワハラなどを受けていると退職の意思を直接上司に示すことが難しくなり退職代行サービスを利用するようになるのだろう。
そして興味深いのが退職代行サービスを”利用された”業種だ。
最も多いのがサービス業で、その中でも人材派遣会社が多い。派遣先の企業で条件と異なる業務を要求された派遣スタッフが、雇用元の人材派遣会社に改善を求めたが対応してもらえず、我慢の限界で退職代行サービスにたどり着くという。人材派遣会社は顧客である派遣先の企業に強く言えないことも影響している。
海外からみれば、この退職代行サービスというのは奇妙に映るらしい。
退職代行サービスを利用するに至る退職理由には日本企業の問題点が潜んでいるといえる。日本企業の生産性が上がらない要因はこんなところにもあるのではなかろうか。
退職代行サービスを利用される企業には、それだけ働く環境に何らかの問題があり、長期的には人材不足につながりかねない。投資の観点からしても、企業が人材をいかに上手く活用し生産性を向上させているかが重要になる。
自分が投資している企業は、退職代行サービスを利用されることが多いのかどうか気になるところだ。