▲22日、パリ・アンヴァリッド広場で他の選手たちと一緒に練習中のアーチェリー韓国代表イム・シヒョン選手=写真左=。写真=聯合ニュース

 「どうやって来たんですか?」「何回乗り継ぎしたか分からない!」

 24日開幕のパリ五輪に向けて、アーチェリーの練習が行われていた22日のパリ・アンヴァリッド広場。キム・ムンジョン韓国代表コーチとパク・ヨンスク・ブータン代表監督がうれしそうにあいさつを交わした。2人は10分以上も安否を尋ねあった。2人だけではない。練習中、選手たちの後方にある、監督やコーチが座っていたベンチでは、韓国語が絶えず聞こえてきた。「ここはパリのアンヴァリッドではなく、韓国の鎮川選手村だ」といっても信じてしまいそうな雰囲気だった。練習場に一緒にいた五輪大会組織委員会の関係者は「アーチェリーは韓国で最も人気のあるスポーツ種目なのか」と不思議そうに言った。

 韓国のアーチェリーは長年、世界最強の座に君臨してきた。このため、各国のアーチェリー協会では我先にと韓国人を指導者として招いた。彼らはそれぞれ率いることになったチームを強化し、五輪出場を果たした。その代表的なケースがクォン・ヨンハク中国代表監督、白雄基(ペク・ウンギ)インド代表監督、イ・ジェヨン・マレーシア代表監督らだ。開催国フランスの代表もオ・ソンテク監督が率いる。そのため、パリで時ならぬ「在外韓国人会」が開かれたのだ。

 国外で会ったということで、うれしいのはうれしいのだが、ただうれしいばかりではない。世界中に「先進のアーチェリー」を広めてきた韓国人指導者たちの存在は、各国の代表チームにとって最大の脅威となる要素だ。それぞれの国のアーチェリーの平均的な実力は顕著に上がっているため、韓国もトップの座を確信できなくなった。事実、韓国女子代表チームは今年、ワールドカップ(W杯)第1戦・第2戦の団体戦決勝で相次いでクォン・ヨンハク監督率いる中国に敗れ、準優勝に終わった。第3戦の団体戦では優勝したが、中国と顔を合わせなかった点がスッキリしない。アーチェリー関係者は「韓国の指導者たちが各国にいるため、優勝はさらに難しくなりつつある。それでも五輪では毎回、『アーチェリーは特に優勝して当然だ』というムードがあり、残念だ」と語った。

 異国で悲しみに暮れた監督もいる。インド代表・白雄基監督は2022年からチームを率いてきたが、選手たちと一緒にパリに行くことはできない。インドの各メディアは「インド・アーチェリー協会が決めた理学療法士のせいで、白監督は大会出入証の『AD(Accreditation)カード』を受け取れなかった」と報道した。20日、パリからインドに向かったという白監督は「屈辱的だし、侮辱だ。韓国に帰る」と話したとのことだ。

パリ=イ・ヨンビン記者

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