コロナワクチン接種者と未接種者、死亡率の差は?/CDC
米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国の24地域において、12歳以上に対する新型コロナウイルスワクチンの効果について、デルタ株からオミクロン株BA.4/BA.5流行期にかけて、未接種者と接種者の比較調査を行った。本結果によると、2価ワクチン接種者は、1価ワクチン接種者やワクチン未接種者と比べて、感染に対する予防効果が高く、とくに高齢者において、死亡に対する予防効果が未接種者の10.3~23.7倍と有意に高いことが示された。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report誌2023年2月10日号に掲載された。
コロナワクチン未接種者と接種者の死亡率の差は高齢者ほど高かった
本研究は、2021年10月3日~2022年12月24日の期間(このうち2022年9月1日以降は2価ワクチンのブースター接種推奨)で、米国の24地域におけるCOVID-19罹患2,129万6,326例、およびCOVID-19関連死11万5,078例のデータを基に、1価および2価のコロナワクチンの効果を評価した。調査期間を、デルタ期(2021年10月3日~12月18日)、オミクロンBA.1期(2021年12月19日~2022年3月19日)、BA.2期(3月20日~6月25日)、BA.4/BA.5前期(6月26日~9月17日)、BA.4/BA.5後期(9月18日~12月24日)に層別化し、年齢層別(12~17歳、18~49歳、50~64歳、65~79歳、80歳以上)、および最後にブースター接種を受けてからの期間別に、人口10万人当たりの週平均の感染率と死亡率を、コロナワクチン未接種者とブースター接種者で比較し、感染率比と死亡率比(rate ratio:RR)を算出した。
コロナワクチン未接種者と接種者の比較調査を行った主な結果は以下のとおり。
・すべての期間において、10万人当たりの週平均の感染数と死亡数は、コロナワクチン未接種者(範囲:感染216.1~1,256.0、死亡1.6~15.8)のほうが1価ワクチン接種者(範囲:感染86.4~487.7、死亡:0.3~1.4)より常に高かった。
・BA.4/BA.5後期では、ワクチン未接種者のコロナ関連死亡率は、2価ワクチンブースター接種者と比較して14.1倍、感染率は2.8倍高く、1価ワクチンブースター接種者と比較して5.4倍、2.5倍高かった。
・BA.4/BA.5後期では、とくに高齢者において、ワクチン未接種者と接種者のコロナ関連死亡率の差が大きかった。コロナワクチン未接種者の死亡率は、2価ブースター接種者と比較して、65~79歳で23.7倍、80歳以上で10.3倍高く、1価ブースター接種者と比較して、65~79歳で8.3倍、80歳以上で4.2倍高かった。
・ブースター接種後の期間で層別化した解析では、コロナワクチン未接種者の死亡率は、1価ブースター接種を2週間~2ヵ月以内に受けた人と比較して、デルタ期は50.7倍高かったが、BA.4/BA.5前期では7.4倍まで差が縮まった。
・BA.4/BA.5前期では、1価ブースター接種後6~8ヵ月(RR:4.6)、9〜11ヵ月(RR:4.5)、12ヵ月以上(RR:2.5)で死亡予防効果の低下が認められた。一方、BA.4/BA.5後期では、2週間~2カ月以内に2価ブースター接種を受けた人のほうが、死亡予防効果が高かった(RR:15.2)。
いずれの解析でも、コロナワクチン未接種者と比較すると、2価ブースター接種者は、1価ブースター接種者よりも死亡に対する予防効果が強化されていた。死亡予防効果は高齢者で最も高かった。著者は、ウイルスの新たな変異に対しても、ワクチンの効果を継続的に観察する必要があるとしている。
(ケアネット 古賀 公子)
関連記事
過渡期に差し掛かったコロナ感染症:今後の至適ワクチンは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)
CLEAR!ジャーナル四天王(2023/02/20)
オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大
医療一般 日本発エビデンス(2023/02/20)
オミクロン株対応2価ワクチン、中和活性の比較/NEJM
医療一般(2023/02/03)
[ 最新ニュース ]
生成AIにも認知機能障害!?/BMJ(2025/01/10)
外傷患者への早期の酸素投与、制限的vs.非制限的/JAMA(2025/01/10)
乳がん手術におけるセンチネルリンパ節生検の省略、全身治療選択への影響は?(解説:下村昭彦氏)(2025/01/10)
ポラツズマブ ベドチン+R-CHPのDLBCL1次治療、5年追跡でも有効性確認 (POLARIX)/ASH2024(2025/01/10)
高K血症治療薬patiromerが心不全治療を最適化-DIAMOND試験サブ解析(2025/01/10)
テクリスタマブ、再発/難治多発性骨髄腫に承認/J&J(2025/01/10)
抗精神病薬誘発性体重増加にGLP-1受容体作動薬セマグルチドが有効(2025/01/10)
若年性大腸がんが世界的に増加(2025/01/10)
乳がん患者の脱毛に対するミノキシジル投与は安全かつ効果的(2025/01/10)
[ あわせて読みたい ]
Dr.大塚の人生相談(2024/02/26)
災害対策まとめページ(2024/02/05)
IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01)
旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)
エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)
医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)
今考える肺がん治療(2022/08/24)