AWSで提供される「Amazon Bedrock」とは?生成AI構築に役立つサービスを紹介
多様なクラウドサービスを手掛けているAmazonのAWSは、近年AI開発プラットフォームとしても活躍しているのが特徴です。
関連サービスを多数提供するAWSですが、新たに登場した「Amazon Bedrock」は、数あるAIの中でも生成AIの構築・運用に特化したサービスです。この記事では、そんな生成AI構築支援サービスのAmazon Bedrockについて、主な機能や活用のメリットを解説します。
目次:
- 生成AI構築の魅力と課題
- AWSの「Amazon Bedrock」とは
- Amazon Bedrock導入のメリット
- Amazon Bedrockの主な機能
- Amazon Bedrock活用の将来性
生成AI構築の魅力と課題
生成AIとは、ディープラーニングを駆使して開発されるAIの一種で、画像やテキストなどさまざまなコンテンツを学習データを参考にしながら生成することのできる画期的なサービスです。
従来のAIはルーティンワークの自動化などに活用範囲が限定されてきましたが、生成AIの進化によって、文字を書いたり絵を描いたりといったクリエイティブな業務も、段階的に自動化できるようになってきています。
この結果、クリエイティブの生成ペースは従来よりも比較にならないほど加速し、大幅な生産性の向上やコストの削減などが実現しつつあるのが現状です。
生成AIは確かに開発者やユーザーに対して絶大な導入効果をもたらしますが、一方で懸念されているのが開発負担の大きさです。生成AIはまだまだ最新技術の一種であり、ホームページを構築するような感覚で誰でも簡単に開発できるというわけにはいきません。
生成AI開発にかかるコストは決して小さくなく、既存の生成AIのAPIを使ってアプリを構築するなど、開発負担を小さく抑えながら運用方法を検討することが求められています。
AWSの「Amazon Bedrock」とは
このような生成AI開発の課題が残る中、AWSが2023年4月に公開したのが、Amazon Bedrockです*1。このサービスはAI開発の構築を支援するパッケージとして提供を開始しており、同サービスを使用することで、AI開発のリソースが十分ではない企業でも生成AI構築を進められることが期待できます。
具体的には、既存のAI開発環境をBedrockの活用によって拡張し、生成AI開発にも対応できるようなものになるというサービスです。AWSが提供する学習モデルを自社のデータベースに合わせてカスタマイズしたり、各種ツールを活用して自社のアプリにAIを統合したりできます。
Bedrockは単体ではなく、AWSの提供する他の機能との併用によって高い効果を発揮するサービスです。例えばBedrockと同日に発表された、AWSの新しい学習モデルである「Amazon Titan」は、Bedrock対応で複数言語に対応していることが特徴です*2。
多言語のテキスト生成モデルを、BedrockがあればAWSのAPIを通じて簡単に自社サービスに実装できるようになるでしょう。
Amazon Bedrock導入のメリット
Amazon Bedrockの導入は、ユーザーに対して
- AIサービス開発の効率化
- インフラ管理不要の簡単運用
- 独自データを学習させたAI開発の推進
といったメリットを提供してくれます。
AWSが提供する学習モデルを使って生成AIの開発を進められるので、一からモデルを構築する負担を回避し、AIの実装を進められます。また、BedrockはAWSの機能の一環ということもあり、AIの開発にあたってはインフラ構築や維持管理の負担がかかりません。
AI開発はインフラ管理の負担が大きいこともあり敬遠されがちですが、Bedrockであればその負担を回避しながら、簡単に運用ができます。
また、BedrockがあればAWSの学習モデルをただ運用するだけでなく、自社で用意して独自データを学習させることも可能です。既存の学習モデルをそのまま利用するにとどまらず、自社ならではの特徴づけを行えるため、他社サービスとの差別化も進むでしょう。
Amazon Bedrockの主な機能
Amazon Bedrockの特徴的な機能が、モデルのカスタマイズを容易に行えるところにあります。
AIに学習させたいデータをAWSのツールの一種である「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」上でラベル付けを行い、サンプルとしてBedrockに学習させれば、タスクに応じたパラメータの調整を自動で行うことができます*3。
従来のAI開発においては、膨大な量のデータにラベル付けを行った上で用意をする必要がありましたが、Bedrockをはじめとする一連のAWSを活用すれば、こういった負担を回避できるというわけです。
AI開発において負荷の大きかったタスクがデータの準備や加工ですが、その負担もBedrockなどの登場で、解消されつつあります。人的リソースやデータリソースが大企業に比べて少ない中小企業でも、AWSを活用してそのギャップを埋められるようになるでしょう。
Amazon Bedrock活用の将来性
Amazon Bedrockは現在、試験的な限定プレビュー版の提供に留まっていますが、段階的に一般向けの提供も進むと考えられます*4。生成AI関連のサービス提供はOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」などが先行していますが、Bedrockのリリースを機にAmazonも本格的に生成AI領域に参入することとなりました。
また、Bedrockの強みは他の関連AWSサービスとの互換性に優れており、相互運用で高い運用効果を期待できるところにもあります。AWSは無料で使えるAIコーディングサービスの「Amazon CodeWhisperer」もリリースを開始していますが、これはAWSを利用する上では頻繁に登場するコードを、正確かつスピーディに生成できるサービスです*5。
こういった支援ツールとBedrockを合わせて運用すれば、組織のAI開発環境を飛躍的に向上できるでしょう。
まとめ
この記事では、AWSで提供が開始している生成AI支援サービスのAmazon Bedrockについて紹介しました。
Bedrockは今後Amazonが提供する生成AIプラットフォームの基礎となっていくことが予想でき、他のAWS内で公開されているAIサービスと併用することで、高い導入効果が得られます。
Bedrockは現在限定的な提供が行われていますが、本格的な一般公開が進めば、AWSの支援を受けたAI開発が加速し、OpenAIやGoogleのAIサービスを凌ぐシェアを獲得する可能性もあるでしょう。今後のAWSのAI関連サービスにも注目しておきたいところです。
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出典:
*1 ZDNet Japan「アマゾン、生成系AIアプリの構築を容易にする「Amazon Bedrock」を発表」
https://japan.zdnet.com/article/35202595/
*2 EnterpriseZine「AWS、生成系AIアプリの構築を支援する「Amazon Bedrock」を発表」
https://enterprisezine.jp/news/detail/17657
*3 上に同じ
*4 上に同じ
*5 *1に同じ