芥川賞や直木賞などを運営する日本文学振興会は4日、アニメを馬鹿にしているとSNS上で批判を浴びていた「人生に、文学を。」の新聞広告のキャッチコピーについて、ホームページ上でお詫び文を掲載した。
新聞に掲載された広告コピーがアニメファンを刺激し炎上
日本文学振興会では7月20日付の新聞各紙にて「人生に、文学を。」との見出しのもと、文学振興プロジェクトの広告を掲載した。
このキャッチコピーの中の
「文学を知らなければ、どうやって人生を想像するのだ(アニメか?)」
との部分がアニメに対する侮辱ではないか、などとアニメファン、さらには文学ファンからも多数の批判の声が寄せられていた。
日本文学振興会は4日、コピーへのお詫び文を掲載するとともに、問題となったキャッチコピーの文章を削除。現在は以前よりも柔らかい表現の新たな文章を掲載している。
お詫び文について、文藝春秋取締役副社長の西川清史氏がBuzzFeedの取材に答えた。
西川氏は日本文学振興会の理事を務め、電通が製作したキャッチコピーの採用を決めた人物だ。
コピーに問題があるとは思わなかったという西川氏だが、その後SNS上の反応を受け「アニメファンの気持ちを事前に察知するに至らなかった。私の責任です」と反省。
批判の声を受け止め、お詫び文の掲載と、キャッチコピーの削除を行った。
日本文学振興会には、直接抗議の電話が4本あったが、そのいずれにも西川氏が直接対応。「もし怒っている方がいらっしゃるのでしたら、電話してほしい。いつでもお話しします」と語った。
西川氏は2012年公開のアニメ映画「伏 鉄砲娘の捕物帳」に製作として携わった経験もある。
「アニメを見下しているということは全くない。アニメも文学も同一線上で捉えていたので、キャッチコピーに疑問を持ちませんでした」とアニメを馬鹿にする意図はなかったという。
今回のお詫び文の中でも
日本文学振興会は、アニメは文学に勝るとも劣らない表現手段であり、多大な影響力をもつ芸術であると認識しております。
とアニメは芸術と強調されている。
プロジェクトの対象はライトノベルも含む?
「人生に、文学を。」プロジェクトは本を読むことや文学に親しむ素晴らしさを世の中に訴えていくことを目的としている。
対象となる「文学」には純文学だけでなく、アニメとの親和性も高いライトノベルも含まれるのか。
BuzzFeedの質問に、西川氏は「文学は狭いものではない。芥川賞の対象となる純文学だけでなく、ミステリー小説や翻訳物も文学。イベントには現在ライトノベルは入っていませんが、ライトノベルも含めて、いろいろなものが文学です」と話した。