学校法人「森友学園」が購入した大阪の国有地をめぐる疑惑。10億円級の土地だが、学園側が支払っていたのは実質200万円だった。どういう経緯なのか。取材や証言で改めて整理する。
そんな森友学園は、なぜ、本来なら10億円近い土地を実質「200万円」で買えたのか。
1. 2015年5月、森友学園が国から土地を借りた。料金は月額227万円だった。
2. 2016年3月、土地から大量のごみが見つかる。森友学園が土地の購入を決める。
小学校の工事が始まったのち、土地の深層部から「大量のごみ」が見つかる。
2010年の大阪航空局の調査では、土地の表層部分(3メートル)にごみがあることがわかっていた。新たなごみは、森友学園が建設工事で基礎杭(9.9メートル)を打っている際に発見したという。
BuzzFeed Newsが財務省国有財産審理室に確認したところ、土地に埋まっていたのは生活ごみ(ビニール片、陶片、ガラス)や木材片だったという。
「ごみ発見」から2週間ほど経ち、森友学園は突如として土地の購入を決意する。8年間賃貸するはずが、まだ1年経っていなかった。しかも、お金がなかったはずなのに、なぜか。
財務省の佐川宣寿・理財局長は2月15日の衆議院財務金融委員会で、この森友学園の不可解な意思決定について、「開校が1年後に迫っているなか、早期に学校を整備し開校するため」と説明した。
籠池理事長自身は、前出のラジオ番組でこう述べている。
「綺麗な土地だったら、例えば1000円で買ったものだったらは1000円ですけど、ちょっとなんか変なもの、生活なんぼのものが出てきたらというたら800円になりますよとか、700円になりますよ、というようなことになるんだろうと僕思うんですよね」
こうも言っている。
「第六感が働きまして、これはちょっと賃借料にしたらかなり安くなると。そうすると購入させてもらえる金額に近づいてくるのではないかと」
3. 2016年4月、航空局は土地価格をゴミを理由に「8億円引き」にした。しかも、処理費用として国が1億3200万円を支払うことに。
大阪航空局が森友学園が2016年3月に発見したという「深層部のごみ」の撤去費用を「8億1900万円」と算定した。
こうして、10億円近い土地代からその分が控除された「1億3400万円」の見積もりが提示された。購入決定から1ヶ月後のできごとだ。
これだけではない。土地の貸し付け前から見つかっていた「表層部のごみ」の処理費や、土壌の鉛やヒ素の除去費として、森友学園に「1億3200万円」を支払った。
後者は、土地の貸し付け時の契約で決められていたことだ。
4. 2016年6月、森友学園が土地を購入する。10億円級の土地に払った実質負担は200万円だった。
こうして森友学園は、本来8年後に購入する予定だった土地を、借り始めた翌年に、割り引かれた価格「1億3400万円」で購入することに決まった。
国から「表層部のごみ処理費用など」として、「1億3200万円」をもらった2ヶ月後だ。差し引き、200万円の負担ということになる。
しかも、その購入方法は「10年間分割払い」だ。
頭金は約2800万円。残りの1億円あまりは、「毎年1100万円、延納利息1%」で支払う契約だという(2月15日、衆議院財務金融委員会)。
この「200万円」について、民進党の玉木雄一郎衆院議員は2月20日、衆院予算委員会で質問をした。「ただ同然で売り払われている」のではないかとの指摘だ。
そもそも、本当にごみの処理に8億円もかかるのだろうか。
森友学園の籠池理事長は以前、ゴミの撤去費用について「1億円ぐらい」と説明していた。
朝日新聞の2月14日の報道では、籠池理事長自身が費用は「1億円ぐらい」と語っている。ただ、この点について、学園側はのちに朝日新聞側の「事実誤認」として訂正を求めている。
20日に電話出演した前出のラジオでは、この金額について改めて問われ、言葉を濁した。
「ちょっと今、言えないですね。あの、何ともメディアのところで言えないですけれども、かなりかかるだろうと思いますよ」
4月に開校予定の学校はまだ、大阪府に認可されていない。朝日新聞によると、松井一郎府知事は2月21日、記者団にこう説明した。
「ごみ撤去費用を誰がどう見積もったのかを明らかにするべきだ。ここが一番問題だ」
BuzzFeed Newsは大阪航空局補償課に引き続き説明を求めている。回答を得られ次第、報じます。