ユニ・チャームのおむつ「ムーニー」がサイトで公開しているCM動画に注目が集まっている。
ムーニーから、はじめて子育てするママへ贈る歌「moms don't cry」
動画では、ある母親の日常が描かれている。赤ちゃんの夜泣きのたびに目を覚ます。抱っこして両手に買い物袋をさげて歩く。風呂上がりに濡れたまま赤ちゃんのもとに駆け寄り、あやす。散らかった部屋で茫然とする。
そんな育児の奮闘が描かれた後、初めて自分の指を握り返し、笑顔のような表情を見せるわが子を見て、母親は涙ぐむ。「その時間が、いつか宝物になる。」というコピーで終わる。
父親の登場は約4秒
BuzzFeed Newsが調べたところ、2分1秒の動画のうち、父親と思しき男性が登場するのは2回。誕生したときの病室での後ろ姿(約2.38秒)と、赤ちゃんを抱いてタクシーに乗る母親を横で心配そうに見守る姿(約1.71秒)だ。
タイトルの「はじめて子育てするママへ」からしても、ワンオペ育児(家事や育児を一人で担っている状態)をテーマにしているとみられる。
この動画に対し、Twitterなどではさまざまな反応がある。
「ワンオペ育児を美化しないで」
「いや、これが現実」
「宝物、でも今は...」
「辛かった頃がフラッシュバック」
「吐きそうになった」
また、ユニ・チャームのサイトには「育児に役立つ情報」が掲載されている。「新生児ママの代表的な1日」の例では、午前8時に「パパ出勤」の後、母親がずっと一人で子どもの世話と家事をし、ほぼ2時間おきにおむつ替えと授乳を繰り返している。
育児の実態は
このCM動画やスケジュール例は、育児の実態を表している側面もある。
子どもが乳児の間は、共働き夫婦であっても育児休業を取るなどして、一方が働き、一方が自宅にいてワンオペで家事や育児をすることが多い。人によっては祖父母の力を借りることもあるが、孤立育児による問題が発生しやすい時期ではある。
NPO法人「ファザーリング・ジャパン」が2011年の総務省「社会生活基本調査」からまとめたデータによると、6歳未満児のいる世帯の1日の家事・育児関連時間は、夫は1時間7分(うち育児時間は39分)、妻は7時間41分(うち育児時間は3時間22分)となっている。
【更新】ユニ・チャーム広報室は、CM動画で伝えたかったことについてBuzzFeed Newsの取材にこのように説明した。
「理想の子育てと現実との違いに悩む母親たちが多いため、動画でリアルな現実を描くことで応援したいという強い思いを込めました」
「ワンオペ育児については推奨しているわけでは決してありません」
「大切な赤ちゃんに心豊かにすくすく育ってほしい、と願う気持ちに寄り添って、応援していきたいという思いだけでした」
そのうえで、動画についてはこのように話している。
「さまざまなご意見をいただいていますが、動画を削除する予定はありません。父親の育児参加や周りの人のサポートが進むよう、多くの方に動画を見ていただきたいです」