2008年10月8日、シカゴ・マーカンタイル取引所のS&P 500ピットでのトレーダーの様子。
REUTERS/John Gress
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)などの専門家が個人投資家に推奨しているように、株式投資が主にS&P 500インデックスファンドで構成されている場合、ポートフォリオをそのままにしておく誘惑にかられるかもしれない。なにしろ、S&P 500は2年連続で23%以上の上昇を記録しているのだから。
しかし、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)で最高投資責任者(CIO)を務めるマイク・ウィルソン(Mike Wilson)氏によると、いくつかの大型株が牽引する大きなリターンという状況は、持ち株を再評価して、バランスの見直しを行うのにおそらく良い時期であることを意味する。
「多くの人はそのままにしています」とウィルソン氏は2024年12月23日のインタビューでBusiness Insiderに語った。
そして、限度をはるかに超えて特定の銘柄に集中しすぎて、問題に陥るのです。
テクノロジーセクターは現在、S&P 500の中で32.5%と圧倒的に大きなウェイトを占めている。そして、S&Pグローバル(S&P Global)のデータによれば、インデックス内の時価総額上位6社だけで、その約30%を占めている。
S&P500のセクターの内訳。
S&P Global
しかし、ポートフォリオの過度な集中は、特定のセクターがS&P 500を牽引しているときだけでなく、成功した投資が大きなリターンを上げているときにも起こり得る。
ポートフォリオが自分の望む以上に集中していて、最大の保有銘柄の変動に左右されやすい場合、バランス見直しの方法は複数あるとウィルソン氏はいう。
セクターETFでポートフォリオを構築し、S&P 500に占める規模に応じて各セクターのウェイトを設定し、状況の変化に応じてポジションを調整するという方法もある。たとえば、具体的に公益事業セクターに強気の見通しを持っている場合は、そのセクターをオーバーウェイトにする。生活必需品セクターに弱気の見通しを持っている場合は、そのセクターをアンダーウェイトにすればよい。
その戦略は、「基本的にはS&P 500を保有するが、自分のやり方で保有する」ことだとウィルソン氏は話す。
「インデックスのこの部分は過小評価されているようだ、一方、この部分は過大評価されているようだ、あるいはこのパフォーマンスを牽引してきたトレンドは変化しようとしている」という見方をしてください。
ウィルソン氏自身は、エネルギーと素材セクターを好んでいる。
市場を注意深く監視しているファイナンシャルアドバイザーや投資家がいることが、この戦略には理想的かもしれないとウィルソン氏はいう。
別のバランス見直し戦略として、現在の保有しているインデックスファンドを減らすのではなく、単純に他のインデックスファンドを追加するという方法を同氏は挙げている。
潜在的にパフォーマンスが低かったパッシブ・インデックスを新たに組み入れる必要があります。
例えば、標準的な時価総額加重型インデックスに対して、S&P 500均等加重型インデックスがある。時価総額加重型インデックスが5社または10社に支配されているのとは対照的に、S&P 500均等加重型インデックスの各構成銘柄は同じ規模で、パフォーマンスへの影響も同じだ。
均等加重型インデックスは時価総額加重型インデックスに比べて歴史的に割安だが、ここ数年は伸び悩んでもいる。
市場のさまざまな部分を追跡するインデックスファンドにはほかに、小型株を対象としたラッセル2000(Russell 2000)や、3600銘柄を超える米国株を抱えるバンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド(Vanguard Total Stock Market Index Fund)などがある。
S&P 500内の集中リスクに加え、今後10年間、インデックス全体の年率リターンが低迷するとウィルソン氏は見ている。そして、バリュエーションの高さ、具体的にはシラーPER(あるいはCAPEレシオ)とS&P 500の12カ月先PERの高さにより、この期間のリターンは「ほぼ横ばい」になると予想している。
バリエーションは非常に伸長している。PERの拡大は期待できない。
Morgan Stanley, Rosenberg Research
「これは非常に一般的な見方です。現在のバリュエーションを考えると、今後10年間、A地点からB地点までのリターンは基本的に横ばいで、実質ベースではマイナスになるかもしれません」とウィルソン氏はいう。
しかし、たとえインデックスが横ばいであっても、その間に個別のセクターや銘柄で儲けるチャンスはいくらでもあります。