最高級ブランド、パテック フィリップの時計。
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- 高級時計の鑑定士によると、偽物の時計には特徴があるという。
- しかし、偽造技術がますます向上しているため、本物と偽物を見分けるのは難しいことが多いとも述べた。
- 針の塗装や日付窓の配置など、偽物を見分けるためのポイントを紹介する。
この記事はドバイを拠点とする高級中古品小売店Re-Loved Luxuryの副社長、ゴー・ヨン・シェン(Ng Yong Shen)とのインタビューに基づいている。内容を簡潔かつ明確にするために編集を加えた。
私の時計鑑定の旅は、新型コロナのパンデミック中に高級中古品を扱う企業Valuenceのバイヤーとして働き始めたときに始まった。
その後、同様の職務を追い求め、まずオンラインマーケットプレイスCarousell Groupで鑑定士として働き、次に中古高級品に特化したLuxehouzeで商業マネージャーを務めた。
この業界で4年の経験を積んだ現在、オンラインマーケットプレイスやヴィンテージショップから中古品を仕入れたり、法人クライアント向けの鑑定を行ったりしながら、Re-Loved Luxuryの副社長として事業拡大に取り組むといった日々を送っている。
これらの仕事を通じて、日常的に大量の高級品に触れている。そのため、時計だけでなく、偽物のバッグやジュエリーを見抜くこともできるようになった。
時計を鑑定する際には、裏蓋を開けてムーブメントを確認し、それが完璧かどうかチェックする。それが従来の方法だった。
しかし最近では、偽物の精度が向上してきている。時計職人が裏蓋を開けて確認し、本物だと承認したものの、私が鑑定すると偽物のムーブメントだと判明したケースもあった。
これまでの経験から、さまざまなブランドの偽物の時計には特徴的なサインがあることが分かってきた。本物を見分ける際に注目すべき細かなポイントを以下に挙げる。
1.日付窓のディテール
偽物のロレックス(左)と本物のロレックス(右)の日付窓。
Ng Yong Shen
まず注目すべきは日付窓だ。
上に掲載した写真で、ヴィンテージのロレックス「ツートン・デイトジャスト」の偽物と本物を比較している。
偽物(左)の日付窓に注目してほしい。四角い窓の配置が明らかに異なる。また、フォントも異なっているのが分かるだろう。偽物では数字の線に「にじみ」が見られるが、本物の数字はエッジがよりシャープだ。
2.針の形状と塗装
本物の「オーデマ・ピゲ」の針の塗装。
Ng Yong Shen
針には細かな特徴があり、偽物を見分ける際の重要な手がかりとなることが多い。
本物の針は繊細な研磨仕上げが施されている。
一方、偽物では、針の先がレーザーでカットされたり、折られたりして、時計に貼り付けているように見えることがある。偽造業者はこうしてコストを削減している。本物の時計であれば、このような痕跡があってはならない。
もうひとつの特徴は塗装だ。針に塗装が施されている場合、その塗装は均一で、にじみは一切許されない。上に掲載した本物の「オーデマ・ピゲ」のオレンジ色に塗られた針が、まさにそれを表している。
もし、塗装にしずく状の跡やくぼみが見られたら、何かがおかしいということだ。このようなディテールを確認するには、ルーペを使うと良いだろう。
3.部品の品質
グー・ヨン・シェンが所有する本物のロレックスのクラスプに刻まれた王冠のマーク。
Ng Yong Shen
高級時計ブランドは、時間をかけて精巧な時計を作っており、それがディテールに反映されている。
例えば、時計のクラスプ(留め金)に刻まれたクラウン(王冠)のラインは、シャープでクリーンであり、王冠の周りはフラットでなくてはならない。
安全策を取るに越したことはない
私がアドバイスする最善の方法は、時計を経験豊富な鑑定士に持って行き、適切にチェックしてもらうということだ。
偽造技術は向上しており、「フランケンシュタイン時計」が増えている。これは、本物の部品が組み込まれたものであり、60%が本物だということもある。蓋を開けると、ムーブメントも本物だということがある。
偽物業者は、本物のブレスレットを偽物と入れ替えるだけで、何千ドルもの利益を得ることができる。
だからこそ、十分に注意して信頼できる販売者から購入するか、経験豊富な鑑定士にチェックしてもらうといいだろう。