OpenAIは、すでにグーグル検索のライバルとして、ChatGPT Searchをリリースしている。
NurPhoto/NurPhoto via Getty Images
- OpenAIはウェブブラウザの開発を検討していると情報筋がThe Informationに語った。
- 報道によると、このブラウザはChatGPTと統合される予定だという。
- 一方、グーグルも検索の分野でAIに注力しており、まずはモバイルから始めている。
The Informationの報道によると、OpenAI は、ウェブブラウジングと検索という、長らくグーグル(Google)が独占してきた2つの領域に注目している。
事情に詳しい情報筋がThe Informationに語ったところによると、OpenAIはChatGPTと統合されるウェブブラウザの開発を検討している初期段階にあるという。
2024年11月21日の報道では、OpenAIは旅行、リテール、不動産、食品関連のウェブサイトに、ユーザーがChatGPTと対話するのと同じような会話形式でそのサイトとやり取りできる検索ツールについて提案を行っていると伝えられている。
このツールのプロトタイプを見たある情報筋は、この新製品はNLWeb、つまり「ナチュラル・ランゲージ・ウェブ(Natural Language Web)」と呼ばれるものだとThe Informationに語った。
グーグルとOpenAIの広報担当者はコメントの要請に応じなかった。
ウェブブラウザと検索ツールの開発は、現在、グーグルが市場を安定的に支配する2つの分野に果敢に踏み込む一歩となるであろう。
データ分析企業のスタティスタ(Statista)によると、2024年8月時点でグーグルのクローム( Chrome)は世界のウェブブラウザ市場の約65%を占めている。また、2024年1月時点でグーグル検索は世界の検索エンジン市場の約82%を占めている。検索はグーグルにとって大きなビジネスであり、2024年9月30日までの3カ月間で494億ドル(約7兆6570億円)の収益を上げており、同社の総収益の半分以上を占めている。
グーグルも検索におけるAI活用を強化している。同社は2024年10月、モバイルを皮切りに、検索機能に一連の変更を導入すると発表した。まったく新しい検索体験では、AIを活用してページのレイアウトを整理し、結果をさまざまなカテゴリーに分類するほか、動画やフォーラムのリンク、その他のウィジェットをページ上部に配置する仕様となっている。
複数の情報筋は、「OpenAIのブラウザのローンチはまだ遠い」とThe Informationに語っている。しかし、OpenAIは2024年にクロームの中心的な開発者だった人物2人を採用しており、そのことからも同社がこの製品に関心を持っていることがうかがえる。その中にはチームの創設メンバーであるベン・グッジャー(Ben Goodger)も含まれている。
OpenAIはすでに2024年10月にChatGPTサーチ(ChatGPT search)をリリースし、ChatGPTを検索エンジンのライバルとして位置づけている。この機能によってチャットボットは天気や株式市場などの分野についてリアルタイムで回答できるようになった。
検索とウェブブラウジングにおけるグーグルの支配力は疑う余地がないが、米司法省が、2024年11月20日、グーグルに対してクローム事業の売却を求めたことで、同社の圧倒的な市場シェアや影響力は脅かされる可能性がある。2024年8月5日、 米連邦地方裁判所の判事は、グーグルが検索や広告において独占状態を不当に維持していると判決を下している。
グーグルは、この訴訟に関する判決が下されれば上訴する意向を示しており、司法省が推進しているのは、「過激な方針だ」と主張している。