- 睡眠スケジュールは昼寝をしない、就寝・起床時間を一定にすることで改善できる。
- 寝室の室温を18度でキープしたり、就寝6時間前からカフェインを取らないようにするのも助けになりそうだ。
- 朝の運動も睡眠の改善に役立つ。
もしあなたが睡眠に問題があると感じているなら、あなたはひとりではない。アメリカでは約7000万人が慢性的な睡眠障害に悩まされている。また、アメリカ人の成人の35%は十分な睡眠が取れていない —— つまり1日あたりの睡眠時間が7時間を下回っているのだ。
睡眠の質を高め、十分な睡眠時間を確保する方法の1つは、睡眠スケジュール(いつ寝て、いつ起きるか)を改善することだ。睡眠スケジュールがバラバラだと、睡眠の質や健康に悪影響を及ぼしている可能性がある。
一方、良い睡眠スケジュールを維持できていると、夜の寝つきも朝の目覚めも良くなり、質の高い睡眠につながる。そして、からだとこころの健康のためには、質の良い睡眠を十分に取ることが大切だ。だからこそ、自分にあった正しい睡眠スケジュールを見つけ、それを維持することが健康のプラスになる。
睡眠スケジュールを改善するために、まずは「理想的な」睡眠スケジュールについて知っておこう。
理想的な睡眠スケジュール
睡眠スケジュールは画一的なものではなく、誰にでも合う完璧な睡眠スケジュールはないと、ロマリンダ大学病院の睡眠医学の専門家ラミズ・ファーゴ(Ramiz Fargo)博士は話している。
ただ、自分に合った健康的な睡眠スケジュールを見つけるにあたって、心に留めておくべきことはいくつかある。理想的な睡眠スケジュールは:
- 一貫性がある
あなたの基本的な睡眠スケジュールを左右するのは、概日リズムとも呼ばれる体内時計だ。睡眠スケジュールを維持することで、体内時計をあなたの置かれた環境に同期させ、不眠症のリスクを低減させるとファーゴ博士は話している。夜、メラトニンを放出するタイミングをからだに知らせる助けにもなる。
- 7~9時間の睡眠が取れる
これだけの睡眠時間が確保できれば、一晩で全ての睡眠段階(ステージ)を経験することができる。大半の人は一晩で約4~5回、1段階あたり約90分の睡眠段階を経験していると、ファーゴ博士は話している。
- 自分のライフスタイルに合っている
日中にやらなければならないことや仕事が許すなら、夜型か朝型か、自分のタイプをもとに就寝時間や起床時間を決めていい。「例えば、午後9時から午前4時まで良い睡眠が取れているという患者さんもいれば、午前1時から午前8時まで寝ているという患者さんもいます」と睡眠が専門の臨床心理学者でイェール大学医学部の精神医学科の助教ライネル・シュネーベルク(Lynelle Schneeberg)博士は話している。
睡眠スケジュールを改善するには
睡眠スケジュールは一晩で改善できるものではない。実践、継続、自制を必要とする。それを頭に置いた上で、理想の睡眠スケジュールの見つけ方を5つ見ていこう。
1. 睡眠パターンは週7日継続する
週末くらいはゆっくり寝たいと思うかもしれないが、それは睡眠スケジュールの乱れにつながる。
起床時間がバラバラだとからだが混乱し、「社会的な時差ぼけ」になってしまうことがあるとシュネーベルク博士は指摘する。
「例えば、仕事のある日は朝6時に起きて、週末は10時に起きていると、週末のたびに別のタイムゾーンに『旅行している』ようなものです。海外旅行者が経験するような頭がぼーっとする倦怠感のようなものを感じるかもしれません」とシュネーベルク博士は話している。
また、からだは眠りに落ちるのを助けるホルモン(メラトニン)と目覚めるのを助けるホルモン(コルチゾール)を放出しているため、起床時間があまりにバラバラだと、こうしたホルモンをいつ放出したらいいのか、からだが混乱してしまうとシュネーベルク博士は語っている。
2. 変化はゆっくりと徐々に
もう少し早起きできるようになりたい場合、起床時間を突然、大幅に変えるのは良いアプローチではない。シュネーベルク博士は週に15分ずつ変えていくようアドバイスしている。
例えば、普段は7時に起きているけれど、6時に起きるのが理想だという場合はこのように試してみよう:
- 7日間、毎日午前7時に起きる
- 7日間、毎日午前6時45分に起きる
- 7日間、毎日午前6時30分に起きる
- 7日間、毎日午前6時15分に起きる
- それから毎日午前6時に起きる
このアプローチは確かに時間がかかるものの、からだにとっては負担が少ない。ちなみに、睡眠スケジュールを変える時は就寝時間を変えるよりも起床時間を変える方がやりやすいと、シュネーベルク博士は話している。特定の時間に眠ることを自分に強いるのはなかなか難しいが、特定の時間に自分を起こすことはできるからだ(それでも辛い時はあるだろう)。
「起床時間を変えれば、就寝時間もそれにつられていきます」とシュネーベルク博士は語った。
3. 昼寝をしない
昼寝は魅力的に思えるかもしれないが、ファーゴ博士は昼寝は避けるべきだと話している。健康的な睡眠スケジュールを習慣化しようとしている時は特に、だ。
「(昼寝を避けることで)夜の睡眠への欲求を強く保ち、不眠症を防ぐことができます」とファーゴ博士は言う。
午後遅い時間に昼寝をすると、特に悪影響が出やすい。遅い時間の昼寝は「徐波睡眠」になりやすく、就寝時間になっても眠りに落ちづらくなる。
眠気は夜に取っておいた方が、就寝時間になった時に眠りやすくなるだろう。
4. 定期的に運動をする
定期的な運動は睡眠の改善にとってもいいことだとファーゴ博士は話している。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の現在のガイドラインは、週に150分の適度な運動を勧めている。運動はさまざまな点で睡眠にとってプラスになる。例えば:
- 運動は健康的な体重の維持に役立ち、健康的な体重は睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害のリスクを下げる
- 運動はセロトニンの値を上げ、睡眠・覚醒サイクルの調整につながる
- 運動によって質の高い、深い徐波睡眠がたっぷり取れるようになる
2014年のある研究では、午後の運動よりも早朝の有酸素運動の方が睡眠の質を向上させることが分かっている。深い眠りの時間が長くなるからだ。
早朝、運動のために時間を取ることが難しい場合も、1日のどこかの時点で運動をした方がいい。ただ、就寝時間の直前にするのだけはやめておこう。不眠症になりやすい人は特に、就寝時間の間際に運動をすると眠りに落ちづらくなる恐れがあるとファーゴ博士は話している。睡眠に悪影響を及ぼさないためには、少なくとも運動後90分はあけてから寝た方がいいと研究は示唆している。
5. 睡眠衛生を改善する
睡眠衛生は寝つきを良くしたり、安定した睡眠を手に入れるために行う、睡眠にまつわる良い習慣のことだ。
睡眠衛生を向上させるためのヒントとして、ファーゴ博士が挙げたのが:
- 室温を自分に合った、心地良い温度に保つ。理想的な睡眠時の室温は18度前後だ。
- 部屋は暗くしておく。暗闇がメラトニンの生成を促す。部屋をしっかりと暗くできない場合は、遮光カーテンやアイマスクを試してみてもいい。
- 寝る前のカフェインは避ける。就寝時間の6時間前からカフェインの入った飲み物をやめておくのがベスト。
- 就寝時間の30分前には、テレビやその他の光を発する端末の使用をやめる。その前から専用のメガネなどを使って、目に入るブルーライトの量を減らしたり、使っている端末をダークモードにしておくのもいい。
[原文:5 easy ways to reset your sleep schedule and get your rest back on track]
(翻訳、編集:山口佳美)
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