世界的な債券利回り急上昇、22年や23年の株価急落時に酷似-不安募る
Sydney Maki、Alice Gledhill-
米10年債利回り5%に迫る-高インフレやトランプ氏政策巡る懸念で
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株式と利回りは再び負の相関、債券売り継続なら株安に-アナリスト
世界的な債券市場での売り継続により、利回りが重要な節目に向かって上昇している。高水準のインフレや政治的混乱、政府債務の膨張を巡る懸念が高まっているためだ。
8日の米国債市場では、20年債利回りが一時5%台に乗せた。20年債利回りが5%を上抜けるのは2023年以来。背景には、トランプ次期大統領の政策が物価上昇圧力を再燃させ、財政赤字の拡大を招きかねないとの懸念がある。
20年債は20年に再導入された比較的新しい年限であり、例外的な存在だが、他の年限と同様に売り圧力を受けている。米ADP民間雇用者数が予想を下回る伸びとなったことで、利回りはその後、上昇幅を縮めた。
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30年債利回りは一時4.96%を突破。指標10年債利回りも一時4.73%と23年10月に付けた5%に迫った。
英10年債利回りは一時4.82%と08年以来の高水準を記録。2年余り前にトラス首相(当時)が短期間で辞任に追い込まれた英国債の急落が想起される情勢だ。
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日本でも10年債利回りが1%を超え、10年超ぶりの高水準となった。
マールボロ・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジェームズ・エイシー氏は「根強いインフレや底堅い景気に加え、トランプ氏の政策を巡る極度の不確実性に投資家が対処する中で、米国市場が突出した影響を及ぼしている」と述べた。
米金融当局が50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の大幅利下げで緩和サイクルを開始した昨年9月以降、米国債利回りは上昇傾向にある。米景気が底堅さを保っていることに加え、トランプ氏が大統領への返り咲きを果たし、上昇に拍車がかかった。10年債利回りは利下げ開始前の水準を100bp余り上回っている。
その結果、10年債利回りは節目の5%が視界に入ってきた。5%に乗せたのは過去10年でほんの数回しかなく、直近では23年後半に到達した。
インフレ率は依然として目標を上回っており、堅調な経済指標も続いていることから、米金融当局が今年半ばまでに追加利下げを決定するとの期待は打ち砕かれている。8日に公表された昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨では、当局者が利下げペースの緩和を望んでいることが明らかになった。
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アムンディからシティ・ウェルス、INGに至るまで、金融機関の間では高金利の新時代だとの認識が広がっており、オプション市場では5%に備える動きが出ている。
不吉な既視感
世界的に債券利回りが急上昇し、かつて株価下落を招いた状況に近づいている。
9月半ばからほぼ一本調子で水準を切り上げた米10年債利回りの動きは株価が急落した22年、23年と酷似している。今回は株高一服といった程度にとどまっているが、利回り上昇が続けば株価に下げ余地が生じる。
クリスチャン・ミューラーグリスマン氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、「株式と債券利回りの関係は負の相関に戻った」と指摘。良好な経済データなしに利回りが上昇を続ければ、株式相場にはマイナスだとの見解を示し、「債券が下落する一方で株式は比較的底堅く推移してきたが、経済成長にとって悪いニュースが出れば、調整が入るリスクは短期的にやや高くなったと考えている」と論じた。
長期債利回りの上昇幅が大きいために利回り曲線がスティープ化したが、これは米国の財政およびインフレへの懸念を示唆しているとストラテジストは指摘。予想インフレであるブレークイーブンインフレ率(BEI)ではなく、実質利回りが動きの大半を占めている。
今のところ、インフレ鈍化と底堅い景気、段階的な金融緩和が同時進行する「ゴルディロックス(適温相場)」シナリオの実現を市場は確信している様子だ。とりわけ米国株について、大半の投資家は極めて強気で新年に入った。トランプ次期政権の政策や関税によるインフレ圧力は軽視されている。
UBSグループのストラテジスト、ジェリー・ファウラー氏は「実質利回りが全てで、インフレではない」と述べ、利回りの急上昇は「全て長期債で、短期債ではない。これは市場が現時点で米国の生産性改善に非常に強気で、関税のエスカレートに対する懸念がほぼゼロであることを示している」とコメントした。
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