経営不振の日産、台湾の鴻海が買収意向-ホンダは統合含め検討
リード スティーブンソン-
セブン&アイに続き、外国企業による買収標的となるか
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経営不振の日産には朗報、株価はストップ高に-1974年来の上昇率に
台湾の鴻海精密工業が、経営不振に陥っている日産自動車の経営権取得に向けて出資するとの意向を伝えた。事情に詳しい関係者が明らかにした。セブン&アイホールディングスなどの日本企業と同様、海外企業の買収標的となる可能性も出ているが、国内競合のホンダも日産と経営統合など含めてさまざまな選択肢を検討していることを明らかにしており、今後の展開は不透明だ。
非公開の情報であることを理由に匿名を条件に話した関係者の一人は、鴻海が関心を持っているのは工場などの設備だけではなく会社全体だと述べた。日産が交渉に応じたかや拒否したかなどについては明らかになっていない。鴻海による日産へのアプローチについてはダイヤモンド・オンラインが先に報じていた。
一方、ホンダの青山真二副社長が18日朝、記者団に対して日産と経営統合に向けた協議を開始するとの報道を踏まえて、それも含めたさまざまな選択肢を検討していることを明らかにしていた。いずれのケースでも仏ルノーが保有する約36%の日産株の行方がどうなるかについては不透明だ。
日産の広報担当者はコメントを控えた。鴻海にコメントを求めたが現時点では得られていない。
鴻海やホンダなど他社との資本提携が実現すれば日産の経営の立て直しにつながる可能性があり、18日の株価はストップ高で、ブルームバーグの記録に残る1974年以来の日中上昇率となる前日比24%高の417.6円まで買われ、この日の取引を終えた。ホンダ株の終値は3%安の1244.5円だった。
立花証券の庵原浩樹アナリストはホンダとの統合が実現すれば日産にとっては「非常にポジティブな話」になるとした上で、日本の自動車メーカーは数が多く、統合して「その中で世界の中で競争力をつけてもらいたいということだ」とコメントした。
創業家主導のMBO
今年、日本企業が海外企業の買収標的となった代表的な事例としてはカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案を受けたセブン&アイ・ホールディングスが挙げられる。それに対抗するかたちで創業家である伊藤一族が同社に買収提案するなど、激しい攻防が続く。
スマートフォンの受託生産で急成長した鴻海は電気自動車(EV)製造参入も進めており、世界各地の拠点で自動車生産ラインの設置を進めている。経営不振で大きく下落している日産株の取得を通じて、自動車製造のノウハウなどを取得できる可能性がある。
鴻海を巡っては日産で副最高執行責任者まで務めて退社した幹部である関潤氏が23年に鴻海に移籍、EV事業で最高戦略責任者を務めているという経緯もある。
一方、日産は主力市場である米国や中国での販売不振などで急速に悪化。世界で生産能力の2割削減や9000人のリストラに踏み切るなど苦境に立たされており、株価も低迷を続けている。日産にとってはどこと組むにしても、自社の窮状を立て直すことがまず求めらる。
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