イラン、反政府デモめぐり新たに2人を死刑に
イランは6日、昨年から国内各地で続く反政府デモに関連し、新たに2人の男性の死刑を執行した。これで、抗議運動に関する死刑は4例目となった。
モハマド・マフディ・カラミ氏(22)とサイード・モハマド・ホセイニ氏は共に、抗議運動中に治安部隊員を殺害したとして、昨年12月に有罪判決を受けていた。
一方、2人はこの判決を不服として控訴しており、拷問されてうその自白を強いられたと主張していた。
カラミさんの家族は、死刑執行前にカラミさんとの面会に許可が下りなかったと述べている。家族は司法当局に対し、死刑を取りやめるよう訴えていた。
しかし、イランの最高裁判所は3日に、死刑判決を支持した。
イランの司法当局が運営するミザン通信は、カラミさんとホセイニさんが、準軍事組織の幹部ルホラ・アジャミアン氏の殺害の「主犯」だったと報じた。検察側は、殺害された抗議参加者を弔う人々がアジャミアン氏を裸にし、殺したと説明している。
現在、ほかに3人が同じ件で死刑判決を、11人が禁錮刑を受けているという。
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、裁判は「でっちあげ」だと非難。イラン当局はほかに少なくとも26人について、死刑を求めていると指摘した。
イギリスのジェイムズ・クレヴァリー外相は、死刑執行は「受け入れられない」と述べ、イラン当局に「国民への暴力をやめる」よう訴えた。欧州連合(EU)も、イランが抗議参加者に死刑を科していることに「ショックを受けている」とした。
イラン当局は昨年12月にも、モフセン・シェカリ氏とマジドレザ・ラフナヴァルド氏について同様に、準軍事組織のメンバーを攻撃したとして、死刑を執行している。
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一連の抗議行動は、昨年9月に髪の毛を覆うよう女性に義務づけた法律に違反したとして、クルド系女性のマサ・アミニさん(22)が道徳警察に逮捕され、その後に死亡した事件がきっかけ。
イラン当局は各地の抗議について、外国勢力の支援を受けた「暴動」だとして、殺傷能力のある武器などで対応している。
イラン国外に拠点を置く人権活動家通信(HRANA)によると、これまでに子供70人を含む少なくとも516人のデモ参加者が死亡し、1万9262人が逮捕されている。また、保安要員68人の死亡も報告されている。
抗議活動で拘束された人の多くは、強制失踪や隔離拘束、拷問などの不当な扱いを受けているとされている。