米海軍、同性愛者の人権活動家ハーヴィー・ミルク氏の名前を艦艇に

The USNS Harvey Milk

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画像説明, 米海軍の給油艦ハーヴィー・ミルクの進水式が6日、サンディエゴであった

米海軍は6日、性的指向を理由に1950年代に退役を強いられた、同性愛者の人権活動家ハーヴィー・ミルク氏(故人)の名前を冠した給油艦を進水させた。

カリフォルニア州サンディエゴであった給油艦ハーヴィー・ミルクの進水式には、カルロス・デル・トロ海軍長官と、ミルク氏のおいのスチュワート・ミルク氏らが出席した。

この艦を含めた米海軍の新艦艇6隻に、米公民権運動のリーダーたちの名前が付けられる。

ミルク氏のほかは、連邦最高裁長官を務めたアール・ウォーレン判事、大統領候補の上院議員だった当時に暗殺されたロバート・ケネディ元司法長官など。

潜水士として勤務

ミルク氏は海軍で潜水士として勤め、朝鮮戦争では潜水艦救難艦キティウェイクに中尉として乗船していた。

しかし1955年、性的指向について2週間にわたる尋問を受けた末に、退役へと追い込まれた。

1977年には、サンフランシスコ市政執行委員に選挙で選ばれ、同性愛者だと公言するアメリカ初の政治家となった。

しかし翌年、たびたび衝突していたダン・ホワイト前市政執行委員に射殺された。

海軍の不正義

進水式では、デル・トロ長官がミルク氏について、「自分の人生のとても大事な部分を隠す」よう海軍時代に強いられたのは間違ったことだったと述べた。

「あまりに長い間、ミルク中尉のような海軍兵たちは、暗がりの中に身を潜めるよう強いられ、さらにひどい場合は、私たちが愛する海軍を辞めさせられた」

「そうした不正義は海軍の歴史の一部だ。しかし、不正義に直面しながら勤務し続けた人々の粘り強さも、またその一部だ」

Milk during his campaign for the San Francisco Board of Supervisors

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画像説明, サンフランシスコ市政執行委員の選挙運動中のミルク氏

バラク・オバマ政権が2016年に、海軍艦艇にミルク氏の名前をつける方針を発表した際には、反対意見も出た。

ミルク氏が公然とヴェトナム戦争に反対していたことを思えば、自分の名前を海軍艦につけることには賛成しなかっただろうというのが、反対する人たちの意見だった。