BBC司会者、ワクチン接種後に死亡 検視で関連を調査へ
今月21日に死去したBBCラジオ司会者について、英アストラゼネカ製の新型ウイルスワクチン接種と死因との関連が、検視によって調べられることになった。
遺族によると、BBCラジオ・ニューカッスルで司会を務めていたリサ・ショーさん(44)は、1回目のワクチン接種後に血栓を発症し、治療を受けていた。基礎疾患はなかったという。
BBCが確認したショーさんの暫定的な死亡確認証明書では、死因として検討されている可能性のひとつとしてワクチンが挙げられている。
イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)はアストラゼネカ製ワクチンについて、接種の利益がリスクを大きく上回っているとしている。
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ニューカッスルのカレン・ディルクス上級検視官による死亡確認証明書には、「アストラゼネカ製COVID-19ウイルスワクチン接種の合併症」が死因として検討されると書かれている。
この証明書は死因を決定するものではなく、最終的な判断は検視の完了後に出される。
接種1週間後に激しい頭痛
遺族は声明で、ショーさんは「アストラゼネカ製ワクチンを接種した1週間後にひどい頭痛を訴え、数日後には容体が悪化した」と説明。その後、王立ヴィクトリア病院の集中治療室で「血栓と脳出血の治療を受けた」という。
「悲しいことに、リサは家族に囲まれて21日午後に亡くなりました(中略)彼女が関わった全ての人に愛されていたことが、家族の大きな救いになっています」
MHRAの報道官は取材に対し、「深刻な副反応が疑われる場合、MHRAは死亡に関する報告を十分に調査し、入手可能であれば検視の詳細な結果も考慮に入れる」と述べた。
「MHRAは、血小板の減少と共に起こる血栓についての報告を、詳細かつ徹底的に調査している」
その上で、こうした副反応の報告は依然「極めて少ない」と述べた。
ショーさんは2016年にBBCラジオ・ニューカッスルに入社し、日中の番組の司会を担当していた。それ以前は民間のラジオ局でキャリアを積み、イングランド北東部ではおなじみの声だった。
BBCはショーさんについて、「視聴者に愛されていた素晴らしい司会者」だったと説明。「とても多くの人にとって大切だった人を亡くした」と追悼した。
<解説>ジェイムズ・ギャラガー、科学・保健担当編集委員
血栓症は、オックスフォード・アストラゼネカ製ワクチンの副反応として知られている。
この血栓は脳静脈洞血栓症(CVST)と呼ばれる特殊なもので、体内の血小板の減少と共に起こるのが特徴だ。
この副反応が生じる確率は非常に低い。イギリスでは3500万人近くがこのワクチンを受けたが、血栓の報告は332件。うち死亡例は58件となっている。
しかし、あらゆる医療はリスクと利益のバランスで成り立っている。この副反応も、イギリスをはじめとする各国のワクチン接種事業を方向転換させた。
理想的には、40歳以下の成人は米ファイザーや米モデルナ製のワクチンを接種することが望ましいとされている。