■特集:どうなる2025年度入試
いよいよ入試シーズンの到来です。2025年度の大学入試は、高校の学習指導要領が改訂されて最初の試験になります。変更点や注意点、対策などを専門家に聞きました。(写真=Getty Images)
目次
1.2025年度の共通テスト 変更点と対策
2025年度の大学入学共通テストは、高校の学習指導要領が22年4月から改訂されたことに伴う、最初の試験になります。新課程の共通テストは、従来の6教科30科目から7教科21科目になり、いくつかの変更点もあります。
変更点について河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員は、「新課程になったことで科目ごとに変更点があり、それには2つの要素が混在しています。一つは新課程に変わったための変更、もう一つはセンター試験から共通テストに変更された流れをくむ変更です」と話します。大きな変更点と、新課程の共通テストに対する対策を聞きました。
→ もっと詳しく
2025年度の新しい共通テストは「時間との闘いになる」 変更点と対策は?
2.私立大学の「共通テスト利用入試」のメリットは?
共通テストを活用する私立大が増えています。2000年代に入ってから大幅に増え、現在は9割近くの私立大が共通テストを利用した入試方法を採用しています。
共通テスト利用入試は、大学にとっては、独自問題を作る手間をかけずに受験生獲得の機会を増やせるというメリットがあります。一方、受験生にとってはどうでしょうか。「共通テストを受けるだけで複数の大学に併願できることが、一番のメリットといえるでしょう」というのは教育ジャーナリストの石原賢一さんです。特に地方に住んでいる受験生にとっては、試験を受けるためにあちこち移動する負担がなくなります。また、出願しておくことで、志望校にチャレンジする機会が増えます。ただし、「私立大志望の受験生が共通テスト利用で合格をもらうのは厳しい」と石原さんは話します。
→ もっと詳しく
私立大の「共通テスト利用入試」は受けたほうがいいの? 「利用者が減少するだろう」と専門家
3.新科目「歴史総合」ってどんな科目?
新課程入試になる25年度の大学入試からは、新しい科目が導入されます。地理歴史・公民には「歴史総合」という科目が新設されました。24年度までの共通テストで出題されていた日本史Aと世界史Aを融合させたような科目で、この「歴史総合」の範囲を出題するか否かは、大学ごとに異なります。
「歴史総合」を入試科目に課すかどうかも含め、入試に関する情報は大学の募集要項に記載されています。とはいうものの、忙しい受験生が定期的に複数の大学のウェブサイトを訪れ、最新情報をチェックするのは困難です。だからこそ、その情報収集は親の出番だと受験指導の専門家は話します。
→ もっと詳しく
2025年共通テストから大きく変わる社会科 「歴史総合」ってどんな科目? その対策は?
4.「歴史総合」の出題有無が、受験校選びに影響
新課程入試は、「受験に必要な学習量が格段に増大した」といえます。
最も大きく変わった教科が地理歴史・公民です。ある予備校講師は「新しく登場した『歴史総合』をきちんと教えられる高校教員は、まだ少ないのが現状のようだ」と話します。また、要注意なのは入試での取り扱いです。私立大の25年入試科目を見てみると、「歴史総合」を出題範囲に含むか含まないかで2つのグループに分かれています。
→ もっと詳しく
2025年大学入試から「歴史総合」の有無で、受験校選びに大きな影響 早慶の併願が困難に
5.「英検」を入試に利用する大学が増加
実用英語技能検定(英検)などの英語民間試験を入試に取り入れる大学が増えています。例えば早稲田大学国際教養学部の一般選抜では、出願時に一定の基準をクリアした英検やTOEFL iBT、IELTSなどの民間試験結果を提出した受験生を対象に、合否判定に用いる得点を加点しています。
中央大学の法学部、経済学部、商学部では、「英語運用能力特別入学試験」と名づけた独自の総合型選抜を導入しています。さらに芝浦工業大学は、25年度入試から前期日程と全学統一日程で英語の独自試験を廃止し、英検と共通テストの点数を活用する選抜方式を新設します。
→ もっと詳しく
「英検」を入試に利用する大学が増加 独自の試験なしで、合理化も
6.「総合問題」を課す大学が増えている
複合的な力が問われる「総合問題」を、一般選抜で課す大学が増えています。河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員によれば、「総合問題というのは便利な言葉で、定義は大学によってまちまち」といいます。
では、どう対策したらいいのでしょうか。近藤さんは「各教科の知識をつけておくことが大前提」としたうえで、「出題内容によって異なりますが、ベースとして文章を読み込む読解力、そして記述力が必要です。また理系分野なら、論理的に考える力が問われます」と話し、過去問に取り組むことが大事だと言います。
→ もっと詳しく
早稲田大、青山学院大の入試に出る「総合問題」って何? どうやって対策するの?)
(文=Thinkキャンパス編集部)
【写真】2025年度大学入試 どう変わる? 歴史総合、英検利用など注目点は
記事のご感想
記事を気に入った方は
「いいね!」をお願いします
今後の記事の品質アップのため、人気のテーマを集計しています。
関連記事
注目コンテンツ
-
「小規模だが評価できる大学」(※1)の全国7位にランクイン!特徴的な入試選抜方法がある都留文科大学の魅力とは?
「ツルブン」の愛称で親しまれる都留文科大学は、山梨県都留市を設立団体とする公立大学である。東日本エリア有数の教員養成...
2024/12/20
PR
-
「むし歯を治療する」から、「おいしく食べる」「健やかに生きる」をサポートする歯科医師の育成へ――。日本歯科大学が取り組む超高齢社会の歯科訪問診療
日本歯科大学では、要介護状態や認知症、がんの終末期などにより歯科に通うことが難しくなった患者を診療する「地域密着型の...
2024/12/13
PR
-
女性教員の比率を25%に。「多様性包摂共創センター」開設で東京大学の男女共同参画への取り組みが新たなステージへ
東京大学では、「バリアフリー支援室」と「男女共同参画室」が中心となり、障害者支援とジェンダー平等を推進し、自由で開か...
2024/12/02
PR
調べて!編集部
-
-
東京理科大学
東京理科大学 学生インタビュー(先進工学部 生命システム工学科)
東京理科大学へ入学を決めた理由、高校時代・受験の思い出、キャンパスのお気に入りスポット、将来の希望進路・目標など学生...
2024/05/15
-
おすすめ動画
大学発信の動画を紹介します。
大学一覧
NEWS
教育最新ニュース
- 公立高校のタブレット端末、香川が自己負担へ 他県でも議論の可能性 2025年 02月 01日
- 高校の1人1台端末は自己負担でいいのか「制度後退あってはならぬ」 2025年 02月 01日
- 中学受験が東京と神奈川でピークに、上位層の出願に変化か 関西は 2025年 02月 01日
- 山梨英和大学長らのパワハラを認定、元教員に 今年度中に処分を検討 2025年 01月 31日
- 国公立大入試の2次試験出願 文科省が中間集計を発表 2025年 01月 31日
Powered by 朝日新聞