(天声人語)「きょうも暑うなるぞ」

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 また朝がきて、新たな一日が始まる。炎天の夏である。「ああ、きょうも、暑うなるぞ」。映画『東京物語』で、笠智衆さんが尾道の港を見下ろしながら訥(とつ)とつぶやく、あの有名なセリフがどこからか聞こえてくるようである▼暑い。この暑さ、色で例えれば、私は白だろうか。深緑に茂る木々の葉も、アスファルトの道路…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年8月5日13時14分 投稿
    【視点】

    炎天を槍(やり)のごとくに涼気すぐ  飯田蛇笏 焼けつくように暑い夏の空を、突き刺すように涼気が通り抜けた。<槍のごとくに>という思い切った表現が”一抹の涼”を印象づけている。1954年の作だ。

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