田添聖史
拡大する毎朝5時半ごろに起床し、7時前に家を出る=2024年11月3日、千葉県内、田添聖史撮影
仕事を終えた金曜日の夜、いつも通り自宅で一人の夕食をとる。午後9時にスマホが鳴り、LINEのメッセージが届いた。
「お元気ですか?」
メッセージの下に表示された「OK」をタップすると、まもなく自動送信の返事が届く。
「ご連絡ありがとうございます」
それを見て、やりとりは終わる。「OKと言えることはほとんどないけど、なんとか生きているし」。いつも、そんなことを思う。
千葉県に住む44歳のエミさんは昨年10月、NPO法人「エンリッチ」(東京都江戸川区)が無料で提供する見守りサービスの利用を始めた。
孤独死を防ぐため、一定の頻度でLINEに安否確認のメッセージが届き、反応がなければ、利用者本人に直接電話が来たり親族らに通知が届いたりする仕組みだ。利用者同士で見守りをする有料サービスもある。
警察庁は昨年、全国の「孤独死」の統計を初めて公表しました。1~6月は3万7227人。生産年齢人口(15~64歳)の「現役世代」が23.7%(8826人)を占め、高齢者に限った問題ではない実態が浮かびました。44歳のエミさんは、なぜ見守りサービスの利用を始めたのでしょうか。その理由や、どのような思いで日常を送っているのか取材しました。
エミさんは図書館司書の仕事を続けて20年になる。非正規雇用で月収は15万円弱。小説を書くウェブライターの副業を合わせても「ワーキングプア」(働く貧困層)の境界線とされる年収約200万円には届かない。
拡大する収入を補うためウェブライターの副業を続ける=2024年11月3日、千葉県内、田添聖史撮影
仕事を除けば、日常的に顔を合わせる人はいない。職場の同僚とも世間話をする程度の希薄な関係性。家族とも疎遠だ。
昨年初めに大きな手術を経験し…