36歳の彩色師、自ら仏画描き始める 社寺建築修復への熱き思い胸に

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向井光真
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 神社仏閣などに極彩色豊かな模様を描く「彩色師(さいしきし)」の中川次郎さん(36)=奈良県天理市柳本町=が、自ら制作した仏画の初個展を同市の市トレイルセンターで開いている。社寺建築の色彩修理に携わるだけでなく、仏画を描いて展示を始めた思いとは――。

 中川さんは、福井県南越前町出身で、幼い頃から絵を描くことが得意だった。油絵を本格的に学んだ嵯峨美術大(京都市)の学生時代、御朱印集めで社寺を巡るうちに、社寺の建築に興味を持ち、宮大工を志した。

 卒業した2011年、京都市の文化財修復会社に入社。築地本願寺東京都)本堂や、19年の焼失前の首里城沖縄県)の彩色修復など、これまで約70カ所以上の彩色を手がけてきた。

 色が剝がれ落ちた貴重な文化財を、鉱物を砕いて作られた岩絵の具などを使って鮮やかに力強く復元する。「いわば宝石を建物に塗り、神聖さをよみがえらせていく仕事」として面白さを感じた。

 一方で、元々の色の正確な復元を求められるため、自由度が低いとの思いにも駆られたという。

売り上げの一部を修復資金にできないか

 18年ごろから、町家ゲスト…

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