聞き手・牧野愛博
米国で20日、第2次トランプ政権が発足します。トランプ次期大統領は就任前の記者会見で、デンマーク自治領のグリーンランドやパナマ運河獲得のため、軍事力の行使も否定しない考えを示しました。第1次トランプ政権で駐米大使を務めた杉山晋輔・早稲田大学特命教授は、「日本政府もトランプ氏の過激な発言の背景にある戦略を十分に読み取ったうえで、迅速に対応することが求められる」と語ります。
――グリーンランドやパナマ運河に関する発言は衝撃的でした。
トランプ氏は8年前も大統領に就任する前、周囲をあっと言わせる発言をしました。まず、大統領に就任後、どのような発言や行動をするのか見極める必要があります。
北大西洋条約機構(NATO)の一員であるデンマークに武力行使をするのは「いくら何でも(言い過ぎだ)」と思いますが、発言の真意を読み解く必要があります。中国やロシアは海軍力を増強しており、北極航路や貴重な資源を持つグリーンランドなどに関心を寄せています。
特に中国は4隻目の空母の建造を始めたとも伝えられています。世界で従来、空母機動部隊を3個群以上持っているのは米国だけでした。海洋安全保障や経済安保を見据え、様々な手を打つ必要があると、トランプ氏は考えているのでしょう。
パナマ運河についても出入り口の港湾を香港企業が押さえているという報道があります。背景にあるトランプ氏の危機感は、グリーンランドの問題と共通していると思います。
――トランプ氏は軍事力行使に…