鳥取城北・豊村が見せた懐かしのプレー 力に頼らない基本の大切さ
記者が振り返る 「ウインターカップ2024」 県勢初の決勝進出、鳥取城北
大会で最も躍進を遂げたチームの一つが男子の鳥取城北だろう。過去の優勝校・延岡学園(宮崎)や前年王者・福岡第一を倒し、決勝にたどりついた。そのコートで異彩を放つ選手がいた。
身長183センチの豊村豪仁(たけひと)(2年)。目をひくのは肩や胸の厚みと、落ち着き払った身のこなし。決勝の第1クオーター、リングを背にして味方に球を要求した。
福岡大大濠の勝又絆(ばん)(2年)を背負う格好で、1対1を仕掛ける。いわゆる「ポストアップ」。ゆったりとドリブルをつきながら、ズン、ズンと上半身で相手を押し込む。簡単そうに有利な体勢をつくり、柔らかな放物線でリングに球を沈めた。
福岡大大濠も豊村の脅威にすぐ気付いた。再びポストアップすると、今度は守備を1人追加した。しかし、ここでも豊村が一枚上手。自分に2人の守備がつくことを見越し、空いた味方にアシストパスを通した。
「これは止められない……」。思わず、記者席でつぶやいてしまった。守備側の気持ちを推察すると、「嫌だなこいつ」といったところか。
3点シュートの重要性が高まる現代バスケにおいて、どっしりと内角で構える豊村のようなスタイルは少なくなった。昭和生まれの記者にはどこか懐かしく、ワクワクさせられた。
決勝でやりあった勝又は188センチ、準決勝(福岡第一戦)でマッチアップした宇田ザイオンは182センチながら世代屈指の肉体の強さで知られ、準々決勝(延岡学園戦)でマークについた内田悠介は195センチもあった。楽な相手ではないものの、その3試合はいずれも2桁得点を挙げた。
体幹の強さには元々自信があったという。足のけがを契機に上半身の筋トレを強化し、さらにたくましさが増したそうだ。「フィジカルは僕がナンバーワン」と誇らしそうに大会を振り返った。
でも、パワーだけに頼ってはいない。リング近くでのシュート技術、味方を生かす広い視野があるのは、ミニバス時代にインサイドの選手として基本を学んできたからだと教えてくれた。
スピード感あふれる派手なプレーはないけれど、基本に忠実で己の強みを最大限に生かす。バスケがうまいとは、どういうことか。高校生のお手本になりそうな大切な要素が、豊村のプレーにつまっていた。
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