ヤマトが委託見直す「本当の理由」日本郵便、120億円賠償求め提訴
日本郵便は23日、小型荷物の配達委託で協業するヤマト運輸を相手取り、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。昨年6月に合意した配達委託の見直しを迫られ、多額の損失が出るとしている。ヤマトが企業間の約束を破るような行動に出た「本当の理由」も見えてきた。
日本郵便によると、賠償請求額は120億円。昨年6月の合意内容に法的義務があるとの確認を求めたうえで、協業の準備で支出した費用(50億円)や逸失利益の一部(70億円)を算出したとしている。
訴状によると、日本郵便はヤマトから11月12日付の要望書で、来年1月~再来年3月の薄型荷物の委託数を「ゼロにしたい」と求められた。ヤマト専務からは同社の業績悪化や収益確保が理由だと説明され、12月2日付の文書では「(ヤマトは)法的義務と賠償責任は負わない」と主張されたとしている。
ヤマトは23日、「訴状を見ていないので、現時点でお話はできない」(広報)としている。
昨年6月の合意で配達委託を決めたのは、メール便と薄型荷物の2種類。ヤマトの既存サービスを終了し、ヤマトが集荷して日本郵便が配達する協業サービスに切り替える計画だった。
メール便は今年2月に「クロネコゆうメール」への移行が完了。薄型荷物は来年2月に「クロネコゆうパケット」に完全移行する予定で、数量がとくに多いフリマアプリや東京エリアが残されている。フリマアプリ分などの移行は想定より遅れており、計画どおりの受託は難しくなった。
日本郵政の増田寛也社長は12月18日の記者会見で「社会的な大義を前提によく協議していきたい」と述べたが、提訴の方針を決めたのはその2日後だった。
3億超のメール便が消失
ヤマトが変心した背景には…