イスラエルとハマス、ガザ停戦で合意 人質解放、19日から段階的に

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高久潤=エルサレム 其山史晃
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 パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラエルとイスラム組織ハマスが15日、停戦と段階的な人質解放に合意した。合意の第1段階は19日から始まる。自らが就任する20日までの合意を望んだトランプ次期米大統領への配慮が大きく働いた形だが、恒久的な停戦につながるかどうかは不安も残る。

 交渉の仲介を務めた米国、カタールの声明や両首脳の会見によると、停戦合意は3段階で進められる。生死不明も含めてガザには約100人の人質がいるとみられ、第1段階の6週間で、ハマスは女性や高齢者、負傷者ら33人の人質を解放し、イスラエルも拘束している数百人のパレスチナ人を釈放する。この間、軍事行動を停止し、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退する。

 第2段階で残りの人質の解放と全てのイスラエル軍の撤退、第3段階で残る人質の遺体の引き渡しと、ガザの再建が予定されている。

 今回の合意は、トランプ氏が大統領に就任する20日より前の合意実現を優先させた。第2段階の進め方は第1段階の間に協議するとされ、バイデン米大統領は15日の記者会見で「戦争を恒久的に終わらせる第2段階に移るためには交渉すべき詳細が数多くある」と話した。

 今後、「ハマス壊滅」にこだ…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
其山史晃
中東アフリカ総局長
専門・関心分野
中東、安全保障、地政学、テロリズム
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    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2025年1月16日10時25分 投稿
    【解説】

    合意文書を読むと、今回解放されることになった人の内訳は、昨年5月の合意よりも複雑になっています。 1. ハマスから解放される33 人のリストのうち、病人および負傷者 9 人は、終身刑に服しているパレスチナ人囚人 110 人と交換。 2.

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2025年1月16日14時0分 投稿
    【視点】

    ガザでの戦闘は、ハマースの主だった指導部が軒並み暗殺され、圧倒的な軍事力を誇るイスラエル軍に有利な情勢となっていた。ガザ地区北部などで戦闘は続いていたものの、いつ停戦に合意するかという状況だったと考えられる。今回の停戦についてハマース側も戦

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